社長メッセージ

王子ホールディングス株式会社
代表取締役社長
社長グループ経営委員 グループCEO
磯野 裕之

渋沢栄一翁が、日本の文運の発展のためには、洋紙の国産化が必要であると提唱し、「抄紙会社」を設立したのが、1873(明治6)年2月。従い、本年2月で、当社は、満150歳を迎えることになりました。
ひとえに、ステークホルダーの皆様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

最初の資本金は15万円でしたが、直ぐに資金不足となり、英国へ発注した設備代金を支払うためにも、増資を行い、1874年末資本金は25万円に。設備設置、工場建設は、多少の遅延程度で、1875年6月に完成。その後、設備を稼働させ、操業立上げを試みましたが、そこには、大変な苦闘があり、そのことを渋沢栄一翁は、1914(大正3)年、回顧談で次のように回想しています。

「機械は動くが、切れるばかりで、紙はとんと出ない。ようやく、連続的にできても、粗末な厚い紙。会社の損失も膨らむ。このありさまを見た者は、会社の前途は見込みなしと、考えたに違いない。ただ、一旦発表し、着手した事業を中止する訳にはいかない。心に期してかかった仕事を中途で屈服するのは、快くない。どうしてもやり遂げたい。そう覚悟を決め、取り組んだところ、1875(明治8)年10月に白い紙が抄けるようになり、12月には新聞用紙の試抄も始め、12月16日に開業式を実施するまでになった」

我々が、今ここにあるのも、『どうしても、やり遂げたい』という決意があったからこそで、簡単にはあきらめずに、やり遂げることの大切さは、今後の事業展開でも生かしてまいります。
年間生産量は、創業当初、1876年は200t。現在は、その5万倍、約1千万t(販売パルプの生産高等も含む)。従業員数は、当時は374人。現在は、国内海外合わせ、その100倍、3万9千人。このように当社は大きく発展してきておりますが、今後も次の150年に向け、木質資源から紙・板紙を生産販売し、さらに事業を成長させるとともに、木質資源から新たな素材や製品も開発し、事業を進化させる必要もあり、その事業構造転換を全員一丸となって、やり遂げていきます。

Chairman’s Message 会長 加来 正年より