価値創造のあゆみ

王子グループは1873年の創業から、事業領域を拡大し、成長を続けています。時代の動きを敏感に受けとめながら、その時々で求められる社会ニーズに正面から向き合い、事業構造を変化させてきました。近年は、持続可能な社会への貢献を目指し、国内事業で培った技術を積極的にグローバル展開しています。

売上高推移

生産高(万t)
売上高(億円)
売上高と生産高の推移を示すグラフ。横軸は1967年から2023年、縦軸は生産高(万t)と売上高(億円)。生産高の項目は、紙生産高(国内)、板紙生産高(国内)、紙生産高(海外)、板紙生産高(海外)、パルプ生産高(海外)の6種。1996年以前は、紙生産高(国内)が生産高のほとんど占めていたが、その後板紙生産高(国内)が急増。2010年ごろから紙生産高(海外)、板紙生産高(海外)が増加し始め、2013年ごろからパルプ生産高(海外)の割合が急増し、逆に紙生産高(国内)が減少し始めた。売上高は、1996年には約11,000億円、その後、2009年と2020年に前年比が下がるものの、概ね増加の一途を辿り、2023年には約17,000億円に達した。
パルプ生産高(海外) 板紙生産高(海外) 紙生産高(海外) 板紙生産高(国内) 紙生産高(国内) 売上高

沿革

創業期

1873 - 1909

近代洋紙産業の誕生

王子グループの起源は、近代日本経済の祖・渋沢栄一の提唱による抄紙会社の設立にまで遡ります。渋沢は「製紙事業および印刷事業は文明の源泉」と考え、1873年(明治6年)に抄紙会社が設立されました。抄紙会社は、やがて王子製紙となり日本全国の産業の発展を下支えしていきます。

渋沢栄一
製紙会社 正門(紙の博物館所蔵)
  1. 1873(明治6年) 抄紙会社設立
  2. 1875(明治8年) 東京・王子に工場を竣工 当時の原料はボロ布
  3. 1876(明治9年) 製紙会社に社名変更
  4. 1889(明治22年) 気田工場開場(日本初の木材パルプ製造工場)
  5. 1893(明治26年) 王子製紙に社名変更
  6. 1899(明治32年) 中部工場開場(新聞用紙の生産)

確立期

1910 - 1945

国内自給体制の確立

拡大する紙需要に対応するため、紙づくりに必要な森林や水、広大な土地を求め、北海道に技術の粋を結集した苫小牧工場を開場。新聞用紙は外国製から脱却し、国内自給体制を確立しました。

苫小牧工場(紙の博物館所蔵)
支笏湖畔・ナッソウの滝に建築した水力発電所
  1. 1910(明治43年) 苫小牧工場開場(新聞用紙の国内自給体制の確立)
  2. 1915(大正4年) 樺太へ進出
  3. 1933(昭和8年) 当社と富士製紙、樺太工業が合併(三社合併)し「大王子」と称される
  4. 1937(昭和12年) 王子造林設立(社有林の充実と育成により再利用循環型へ)

発展期

1946 - 1972

新たな技術への挑戦

戦後復興の中で、高品質な紙を迅速かつ大量に製造しようと、当時実績のなかった「連続蒸解釜」の生産性の高さに着目し、春日井工場に導入しました。さらに新聞古紙を脱墨する技術を開発し、古紙利用に大きな道を拓きました。

1960年代の春日井工場
春日井工場1号マシン
  1. 1948(昭和23年) 神崎製紙設立(神崎工場を分離・独立)
  2. 1949(昭和24年) GHQの解体指令により苫小牧製紙(当社)、本州製紙、十條製紙に分割(三社分割)
  3. 1952(昭和27年) 王子製紙工業に社名変更
    春日井工場開場(上質紙の生産)
  4. 1953(昭和28年) 日本初の連続蒸解設備による広葉樹パルプ製造に成功
  5. 1958(昭和33年) 新聞古紙を原料とするDIP(脱墨パルプ)の生産開始(旧・本州製紙)
  6. 1959(昭和34年) 釧路工場開場(旧・本州製紙)(段ボール原紙生産の開始)
    富岡工場開場(旧・神崎製紙)(塗工紙の生産)
  7. 1960(昭和35年) 王子製紙に社名変更
  8. 1962(昭和37年) クラフト紙の生産開始
  9. 1970(昭和45年) 北日本製紙と合併
    パルプ不織布の生産開始(旧・本州製紙)
  10. 1971(昭和46年) 家庭紙「ネピア」の生産開始

激動期

1973 - 1999

紙の多様化と環境への対応

国民の生活は豊かになり人々のライフスタイルに大きな変化が訪れます。紙に対する期待が高まり、白板紙や感熱紙、家庭紙などの新たな製品を次々と開発しました。一方で、工場での公害対策にも力を入れていきました。

1970年代にトイレットロール、ティシュおよびタオルペーパーを販売開始
高級白板紙
  1. 1971(昭和46年) カーター王子・国策・パンパシフィック社(現・Pan Pac Forest Products) 設立(ニュージーランド)
    JANT PTY LTD.設立(パプアニューギニア)(旧・本州製紙)(※2004年に事業撤退)
    海外での植林事業開始
  2. 1973(昭和48年) ブラジルにパルプ工場建設(日伯紙パルプ資源開発(JBP)及び
    Celulose Nipo-Brasileira(CENIBRA)設立)
    海外でのパルプの生産開始
  3. 1974(昭和49年) 高級白板紙の生産開始(旧・日本パルプ工業)
  4. 1975(昭和50年) 感熱紙の生産開始(旧・神崎製紙)
  5. 1979(昭和54年) 日本パルプ工業と合併
  6. 1986(昭和61年) Kanzaki Specialty Papers(KSP)設立(アメリカ)
  7. 1987(昭和62年) 紙おむつの生産開始
  8. 1988(昭和63年) Howe Sound Pulp and Paper(HSPP)設立(カナダ)(※2008年に売却)
  9. 1989(平成元年) 東洋パルプと合併
  10. 1990(平成2年) Kanzan Spezialpapiere(KANZAN)設立(ドイツ)(旧・神崎製紙)
  11. 1991(平成3年) Pan Pac Forest Productsをグループ会社化(ニュージーランド)
  12. 1993(平成5年) 神崎製紙と合併し新王子製紙に社名変更
    Albany Plantation Forest Company of Australia (APFL)設立(オーストラリア)
    オーストラリアで植林事業開始
  13. 1994(平成6年) Quy Nhon Plantation Forest Company of Vietnam(QPFL)設立(ベトナム)
    東南アジアで植林事業開始
  14. 1996(平成8年) 本州製紙と合併し王子製紙に社名変更
    業界初のカートンのコンパクト化を実現した「ネピアティシュコンパクト」の販売開始
    Advance Oji Speciality Papers (AOSP)(タイ)設立(現・Oji Paper (Thailand) (OPT))
  15. 1999(平成11年) Ojitex(Vietnam)設立

改革期

2000 -

事業構造の転換とグローバル展開の拡大

2008年以降、紙の生産量は減少。国内市場が縮小する中、東南アジアを中心とした海外進出を強力に推し進め、海外売上高比率は40.8%にまで達しました(2024年度)。2012年には持株会社制に移行して王子ホールディングスに社名変更しました。

近年では、地球温暖化対策、海洋プラスチック問題など地球規模での課題が浮き彫りになり、「脱化石原料」「持続可能性」がキーワードになりました。こうした中で紙製品、さらには木質資源への期待が今まで以上に高まっています。長い歴史で培った製紙技術を最大限活かし、近年では木質由来の新素材の開発にも注力しています。

セルロースナノファイバー
バイオエタノール
GSPP PM3
Walki社
  1. 2000(平成12年) 紙パルプ工場として世界初となる酵素漂白設備稼働(米子工場)
  2. 2002(平成14年) 王子製紙板紙製造部門と3社(高崎三興、中央板紙、北陽製紙)が合併し、王子板紙(現・王子マテリア)として板紙の生産・販売を一元化
  3. 2004(平成16年) 当社特殊紙・フィルム事業部門に富士製紙(特殊紙・白板紙の製造販売子会社)を統合し王子特殊紙(現・王子エフテックス)を設立
    廃棄物ボイラ導入(苫小牧工場)
    「鼻セレブ」販売開始(王子ネピア)
  4. 2005(平成17年) 王子コンテナーとチヨダコンテナー株式会社が合併し王子チヨダコンテナー(現・王子コンテナー)を設立
    森紙業グループ(段ボール事業)をグループ会社化
  5. 2009(平成21年) 新タック化成設立
  6. 2010(平成22年) PT Korintiga Hutani (KTH) をグループ会社化(インドネシア)
    GSPP Groupをグループ会社化(マレーシア)
    江蘇王子製紙南通工場稼働
  7. 2011(平成23年) Oji Papeis Especiaisをグループ会社化(ブラジル)
    Harta Groupをグループ会社化(マレーシア、カンボジア)
  8. 2012(平成24年) 王子ホールディングス設立(持株会社制に移行)
    Oji JK Packaging(現・Oji India Packaging)設立(インド)
  9. 2013(平成25年) 世界初・セルロースナノファイバーの透明連続シート化に成功
  10. 2014(平成26年) Carter Holt Harvay Pulp & Paper(現・Oji Fibre Solutions)をグループ会社化(ニュージーランド、オーストラリア)
    Oji GS Packaging (Yangon) を設立(ミャンマー)
    溶解パルプの生産開始(米子工場)
    南通工場クラフトパルプ設備稼働
  11. 2015(平成27年) 中越パルプ工業と資本業務提携
    People & Grit(M)をグループ会社化(マレーシア)
    王子グリーンエナジー(株)設立 バイオマス発電事業に参入
    日南市でバイオマスボイラによる発電事業開始
  12. 2017(平成29年) 透明セルロースナノファイバースラリー「アウロ・ヴィスコ」販売開始
  13. 2019(令和元年) 三菱製紙と資本業務提携
    自動包装システム「OJI FLEX PACK'AGE」、連続ダンボールシート「らくだん」販売開始(王子コンテナー)
  14. 2020(令和2年) 「環境ビジョン2050」「環境行動目標 2030」の制定
    王子ファーマ設立
    木質由来の医薬品開発
    シルビオバリア販売開始(王子エフテックス)
  15. 2022(令和4年) パーパス(存在意義)の策定
    Adampak Pte. Ltd.グループ会社化(シンガポール、他)
  16. 2023(令和5年) IPIグループ会社化(イタリア)
  17. 2024(令和6年) Walkiグループ会社化(欧州)