王子ホールディングス株式会社は、7月2日から3日にフランス・パリの経済協力開発機構(OECD)本部で開催された「OECD Green Growth and Sustainable Development Forum(グリーンな成長と持続可能な発展のためのフォーラム)」に当社代表取締役社長 磯野裕之が登壇したことをお知らせいたします。
本フォーラムは、COP30※1に先立ち、「森林・農業・土地利用を気候変動対策の柱に」をテーマに、各国政府関係者、国際機関、研究者、民間企業などが一堂に会し、活発な議論が交わされました。
磯野は、日本の民間企業として最大級の森林を保有する王子ホールディングスが「木を使う者には、木を植える義務がある」という企業理念のもと、100年以上にわたり持続可能な森林経営を実践してきたことを説明しました。また、同社が保有する約63.5万ヘクタールの森林のうち約3分の1を環境保全林として管理し、水資源の供給、生物多様性の維持など、多面的な価値を生み出していることを強調しました。
さらに、「森林の価値が正当に評価されていない」という課題を指摘し、森林などの自然資本が経済的価値として認められるためには、それらの価値を可視化・定量化する必要性があることを訴えました。その一例として、北海道で開始したドローンやセンサーを活用した森林価値の測定プロジェクトや、2023年に設立されたInternational Sustainable Forestry Coalition(ISFC)※2での自然資本評価に関する取り組みを紹介。将来的には、自然資本を企業のバランスシートに反映させる仕組みづくりを目指しており、自然資本の経済的評価が高まることで、ネイチャーポジティブ※3の促進が期待できることに言及しました。

当社は今後も、グローバルな環境課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて、森林の価値を未来へつなぐ活動を推進してまいります。
- ※1 COP30とは、2025年11月にブラジルのベレンで開催予定の「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議の略称。気候変動適応策に関する国際的な枠組みのもと、各国政府、企業、市民団体などが集まり、温室効果ガスの削減やその対策について議論・交渉を行う場。ネイチャーポジティブや森林保全など、自然と共生する経済の実現に向けた議題も注目されている
- ※2 ISFCとは、2023年9月に設立された、森林所有者や森林投資事業者など世界各地の企業20社によって構成されている国際的な団体。持続可能な森林管理を基盤とし、森林セクターの意見を集約して発信することにより、気候変動、生物多様性の損失、森林面積の減少といった国際的課題へ対処することを目指す。当社は設立メンバーとして当初より参加
- ※3 ネイチャーポジティブとは、気候変動や生物多様性の損失が問題になっている中、企業の事業活動そのものや資金の流れが、自然の搾取ではなく豊かにする方向に向かうこと