微細構造ナノドットアレイ

ND NANO DOT ARRAY

王子グループのナノドットアレイは独自技術によりサイズ数百nm~数μmの表面微細構造を作製できます。光学分野、分析化学分野、生命科学・医療分野など、多様なアプリケーションを開発しております。

多様な微細構造

様々な形やサイズの微細突起構造が作製可能。各種カスタマイズも可能です。

反射防止構造の電子顕微鏡画像。微細な尖った突起が均一に並んでいる構造が示されている。
円錐構造の電子顕微鏡画像。円錐状の突起が規則正しく並んだ表面構造が示されている。
円錐合構造の電子顕微鏡画像。円錐状の突起が重なり合うように配置されている微細構造が示されている。
複合構造の電子顕微鏡画像。球状の構造物が蜂の巣状に密集している表面が示されている。
その他の微細構造の電子顕微鏡画像。規則的に配置された微細な突起と波状の表面パターンが示されている。

幅広い分野に応用可能な多種アプリケーション



ナノドットアレイ応用例1 鏡面反射防止構造 (平滑面の反射防止と透過率向上)

蛾の目の表面構造(上図:ナノサイズのドット型微細構造)をもつフィルムは、光の反射率を低下(透過率を向上)させる特徴があります。

昆虫の目の表面構造とその拡大図を示す画像。右側には微細構造が拡大表示され、反射率グラフで構造あり(赤線)は反射率0.31% @555nm、構造なし(黄線)は5.11% @555nmであることが示されている。
プラスチックシートの外面比較画像。左側は鏡面反射防止構造なしで反射光が見えるが、右側の鏡面反射防止構造ありでは反射光が抑えられ、建物の映像がクリアに表示されている。

同様の反射防止構造をプラスチック表面に作製したフィルムや成形体をご提供いたします。

用途
低反射率、高透過率が求められる鏡面光学材料
基材
(直接加工)シリコン、石英ガラス、等
(樹脂成形)アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン樹脂、等

ナノドットアレイ応用例2 拡散反射防止構造 (非平滑面の反射防止)

防眩(ぼうげん)と反射防止の性能をあわせ持つ拡散反射防止構造を開発しました。この構造によって光を散らし、あらゆる角度からの反射を防止できる漆黒のフィルムをご提供いたします。光学機器の迷光防止などにもご使用いただけます。

※積分反射率0.5%程度
拡散反射防止構造フィルムの効果を示す比較画像。左側は構造なしのフィルムで光の映り込みが見られ、右側は構造ありのフィルムで光の映り込みが抑えられたマット調の黒い表面が示されている。右側には微細構造による光の拡散と吸収の仕組みを説明する図が表示されている。
拡散反射防止構造フィルムの反射率データを示す2つのグラフ。左のグラフは積分反射率で、構造ありは平均0.49%、構造なしは高い反射率を示している。右のグラフは正反射率で、5°の入射角において構造ありの平均値は0.0035%と低い反射率を示している。
用途
低反射率が求められる表面、光学筐体内部の迷光防止など(カメラや光学検査装置の内側など)
基材
(樹脂成形) アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン樹脂、等

ナノドットアレイ応用例3 LED用微細構造付きサファイア基板(PSS)

LEDの光を効率よく取り出すことのできる、ミクロン~ナノサイズのドット型微細構造付きサファイア基板(PSS) を提供します。微細加工は、半導体結晶成膜面、および成膜側と反対面(フリップチップタイプの光取り出し面)に作製可能で、波長、デバイスに最適な形状を作製することができます。

※PSS:Patterned Sapphire Substrate
LED点灯状態での比較画像。左側はPSSなしのLEDで、光の均一性が低い状態。右側はPSSありのLEDで、光が均一に点灯している。右上には複合構造体の拡大画像が示され、微細なピッチ構造が確認できる。
LEDに使用可能な各種微細構造の電子顕微鏡画像。左上は3μmピッチ構造、左下は1μmピッチ構造。右上は400nmピッチ構造、右下は200nmピッチ構造の断面画像が示されている。各構造は規則的に並んだ微細なパターンを形成している。
LEDに使用可能な各種微細構造例
用途
LEDなど光学素子の結晶成長調整、アウトカップリング効果による輝度向上など
基材
(直接加工) サファイア、シリコンカーバイド、シリコン、石英ガラス、窒化ガリウム等

ナノドットアレイ応用例4 プラズモニックデバイス

表面プラズモンを利用したデバイス

金属表面に発生する表面プラズモンを光に変換したり、光を表面プラズモンに変換する微細構造を提供いたします。例えば、有機ELの光取り出し効率向上や有機薄膜太陽電池の変換効率向上などが可能です。

表面プラズモン構造を有機発光素子に導入した例を示す画像。青色素子(波長470nm)、赤色素子(波長620nm)、白色素子の比較が表示されており、それぞれ微細構造なしでは光の強度が低いが、微細構造ありでは光の輝度が向上している。
用途
有機EL の輝度アップ・低消費電力化、有機薄膜太陽電池の変換効率向上、その他プラズモニックデバイスの性能向上
基材
石英ガラス、一般的なガラス、シリコン、シリコンカーバイド、サファイア、等

ナノドットアレイ応用例5 配向性細胞培養基材

微細構造体により配向した状態で培養した細胞シートは、生体内に近い生理活性を有するため、薬剤安全性試験や再生医療等に利用できる可能性があります。王子グループの細胞培養基材は平坦部と突起部を交互に配置したストライプ状の構造で、骨格筋細胞、心筋細胞などが配向することを確認しています。

ナノサイズの突起部と平坦部をストライプ状に配置した電子顕微鏡画像。拡大図では突起部と平坦部の微細構造が確認できる。右側にはND Cell Aligner Dish 35の製品画像が表示され、底面に微細構造パターンを形成した35mmディッシュであることが示されている。
配向制御可能な培養実験例。左側はヒトiPS細胞由来の心筋細胞、右側はマウス心筋細胞の培養比較画像。ストライプ方向に細胞が配向し、微細構造ありのND Cell Aligner Dishでは、細胞が同一方向に配向していることが確認できる。微細構造なしのディッシュではランダムな配向が示されている。
CellArray-Heart(セラレイ・ハート)。播くだけで細胞の配向性を制御。細胞の成熟化が促進。薬剤安全性試験、再生医療研究に利用できます。

ナノドットアレイ応用例6 ラマン分光分析用高感度SERS基板

ナノサイズの金属微細構造に光を入射すると、表面プラズモン共鳴による電場増強が生じ、測定対象分子のラマン散乱強度が著しく増強されます( 表面増強ラマン散乱)。これを利用することで、高感度ラマン分光分析が可能になります。

※SERS (Surface Enhanced Raman Scattering: 表面増強ラマン散乱)
SERS基板の利用分野を示す図。中央に「SERS基板の利用分野」とあり、周囲に6つの用途が記載されている。一般分析用途、セキュリティ分野、ヘルスケア医療検査、医薬品検査、食品検査、環境検査が含まれ、各用途に具体的な分析内容(病原体分析、薬物検出、残留農薬など)が示されている。

当社SERS基板の特徴

AuおよびAgの微細構造によるSERS基板をご提供いたします。ラマン分光分析における奨励励起波長は、Au-SERS基板の場合780nm、Ag-SERS基板の場合532nmです。どちらのSERS基板も出荷後約3ヵ月程度が使用期限となります。

SERS基板のラマン散乱強度を示すグラフとサンプル画像。グラフではラマンシフト/cm-1のデータが示され、SERS基板がガラス基板に比べて高いラマン散乱強度を示すことがわかる。右側にはSERS基板のサンプル例が示され、透明な基板上に小さな正方形のSERS基板が配置されている。
用途
環境測定や薬物検出などの微量分析用途、原料分析用途など。特に水系希薄サンプルに有効です。
基材
シリコンまたはガラス基板上のAuおよびAg構造。