紙パルプ革新センターでは、王子製紙米子工場のパルプ設備に最先端技術の連続工業プロセスを導入し、各種用途に適した溶解パルプの開発に力を入れています。
溶解パルプ(Dissolving Pulp)
①溶解パルプ(Dissolving Pulp)とは
溶解パルプ(Dissolving Pulp)とは、木材を原料に木材中のヘミセルロース、リグニンを極限まで除去して製造したパルプのことで、セルロース純度が高いことが特徴です。主に工業向けセルロース原料として使用されています。
溶解パルプ(Dissolving Pulp)
②溶解パルプの主な用途
溶解パルプは、加工方法によってさまざまな用途に発展させることができます。
【主な用途】
- 溶解パルプを一旦溶解した後、析出させて再生セルロースとして使用する分野
⇒レーヨン・セロファンなど
- セルロースの非結晶部を加水分解して、結晶性セルロースとして使用する分野
⇒医薬品・食品添加剤など
- 各種セルロース誘導体として使用する分野
⇒食品添加剤・土木材料・人造繊維など
用途によって、DPに求められるセルロース純度やセルロース重合度が異なり、これを作り分けるには高度な技術が必要になります。
紙パルプ革新センター・ウッドリファイナリー研究室では、溶解パルプ製造条件の基本設計を行うと共に、各種用途に適したDPの高品質化のための要素技術の開発を行っています。
王子製紙米子工場では、2014年5月よりDPの製造を開始し、王子グリーンリソースにて販売を行っています。
王子グリーンリソースのHP
③溶解パルプの製造
王子グループの溶解パルプは、ユーカリ材を熱水にて前加水分解処理し、ヘミセルロースを分解・除去した後、クラフト蒸解法にてパルプ化したのち、漂白処理を行っています。
溶解パルプ中のセルロース純度は主に前加水分解条件、セルロース重合度は主にクラフト蒸解条件で決まり、これらの条件を制御することにより、様々な用途に向けた溶解パルプを製造しています。
溶解パルプ製造設備(王子製紙米子工場内)