対前年度比:増収減益
● 国内:特殊紙は、電子部品の需要低迷により剥離原紙・剥離紙の販売
数量が減少したが、戦略商品である通販向けヒートシール紙や非フッ素
耐油紙などの拡販、価格修正により増収。感熱紙は価格修正により増収。
● 海外:感熱紙は需要低迷、金利上昇などによる在庫削減の動きにより
販売数量は減少したが、価格修正により増収。
事業概要
機能材カンパニーでは、様々な付加価値を持つ特殊紙、機能紙を取り扱っています。また、製紙業で培った王子グループのコア技術である シート化、塗工技術を活用し、各種フィルムの製造も行っています。研究開発・製造・営業が一体となった総合提案力を強化し、高付加価値 製品の開発を進めながら、王子グループを「革新的価値創造企業」へとリードします。
特殊紙事業
絶縁材などの電気材料用紙、嵩高性・保液性に優れた乾式パルプ不織布、寸法安定性や耐熱性に優れたガラスペーパーなど、高度な特殊機能を備えた製品を取り揃えています。

ガラスペーパー(王子エフテックス)
感熱事業
王子グループの感熱記録媒体は、家庭用・工業用・流通用・医療用などのさまざまなシーンで、さまざまなニーズに応える製品を多様な塗工技術で開発し、トップクラスの世界シェアを誇ります。

スロットチケット(Kanzaki Specialty Papers )
粘着事業
独自の粘着力制御技術で、食品・飲料ラベル、宅配便の宅配ラベル、梱包用粘着テープや絆創膏といった身近なものから、建材用アルミテープ、偽造防止用テープなど特殊用途に対応する製品を取り揃えています。

Eco Marine TacTM(王子タック)
フィルム事業
電動車のモーター制御用PCUに搭載されるフィルムコンデンサ用として、世界最薄となる薄膜化技術をベースに開発するコンデンサ用OPPフィルム、スマートフォン等の精密機器に採用される光学用両面粘着フィルムやハードコートフィルムなどの製品を取り揃えています。

光学用両面粘着フィルム(OCA)(新タック化成)
王子グループ機能材製品カタログ
食品、医薬、印刷、建築、工業、農業など幅広い分野で活用されている各種機能を備えた製品を紹介しています。
カタログ画像をクリックしてご覧ください。
※日本語・英語・中国語に対応
[PDF 5MB]

収益向上への取り組み — Profitability —
高機能・環境対応製品の積極的な開発
国内では、高機能・高付加価値でかつ環境問題にも対応した製品の開発に取り組みました。
不織布では、バイオマス素材の「キナリトLEAF」を開発し、感熱紙では、半透明感熱紙「セミスルー」や「耐アルコール感熱紙」を開発しました。さらに、PFAS問題(有機フッ素化合物の規制)に対応した非フッ素耐油紙「O-hajiki(オハジキ)」も開発しました
農業資材分野では、産業廃棄物と食品ロスを削減する野菜包装用OPPフィルム「カルフレッシュ」や、土中で分解する紙製農業用マルチシート「OJIサステナマルチ」、天然パルプ主原料の生分解性・水解性不織布「ハイビオス」などの新製品開発も進めました。
また、電動車の急速普及に向けて、2024 年度に王子エフテックス滋賀工場にモーター駆動制御装置のコンデンサ用OPPフィルム生産設備を稼働させ、生産能力を増強する予定です。
SILBIOシリーズ
SILBIOシリーズは、プラスチック包装代替として開発された紙製包装素材です。アルミ蒸着フィルム並みの高いバリア性と遮光性を持つ製品や、透明性とバリア性を両立した製品、PE※1などのシーラント加工が不要な製品など、さまざまな領域の包装用途に対応した製品をラインナップしています。
EVOH※2同等の酸素バリア性、LDPE※3同等の水蒸気バリア性を備え、内容物の水分蒸発・匂いもれを防ぐ「シルビオバリア」。紙にアルミ蒸着を行い、高い酸素バリア性・水蒸気バリア性・遮光性・ヒートシール性を付与した「シルビオアルヴァ」。バリア性・ヒートシール性に加えて透明性を付与した「シ
ルビオクリア」。バリア性はありませんが、ヒートシール機能に特化し、食品の二次包装や配送用包装、産業資材包装に最適な「シルビオイージーシール」の4 製品を取り揃えています。
SILBIOシリーズは、紙マーク付与が可能な製品であり、食品や日用品、産業用途などさまざまな包装材に採用されています。
※1 ポリエチレン ※2 エチレンービニルアルコール共重合体 ※3 低密度ポリエチレン

感熱事業の全世界拡販および印刷・加工を含めた競争力強化
海外では、南米での旺盛な感熱紙需要に対応するため、2021年にブラジルで生産能力をほぼ倍増する設備増強・増設工事を、欧州で感熱紙生産設備の増産工事を完了し、2024 年1月に本格稼働しました。2022年9月には、東南アジア・中国に事業拠点を有する高機能ラベル印刷加工会社Adampakグループが王子グループの一員になりました。すでにタイで展開していた感熱紙・粘着紙事業、マレーシアの高機能ラベル印刷加工・断裁加工事業に、電気製品やヘルスケア製品向けの高機能ラベル事業が加わることで、原紙から加工までの一貫生産が可能となりました。今後も成長が見込まれるアジアで顧客ニーズを広く吸い上げ川上事業へフィードバックすることで、最適なラベル製品をタイムリーに幅広く提案し、顧客価値を高めていきます。
2024年4月には、欧州に事業拠点を有する包装資材加工メーカーWalki社が王子グループに加わりました。事業ポートフォリオや市場拡大に向けた取り組みを開始します。

Adampakグループペナン工場(マレーシア)