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王子グループ内の連携を強化し、最適生産体制の構築等の推進でキャッシュ・フロー経営を徹底していきます。
森平 高行 王子ホールディングス 常務グループ経営委員 印刷情報メディアカンパニープレジデント
対前年度比:増収減益 ●国内:新聞用紙、印刷・情報用紙は需要の減少傾向が継続しているが、価格修正により増収 ●海外:江蘇王子製紙(中国)にて、ゼロコロナ政策終了後の経済回復が鈍く、前年度並みの売上
新聞用紙や印刷・情報用紙など、情報伝達媒体として使用される紙製品群を取り扱っています。お客様が求める品質にお応えするとともに、より新たな価値を創造し、社会を豊かにする新製品・新技術の開発に努めています。
世界有数の新聞用紙生産工場である苫小牧工場で、多彩なパルプを駆使して、軽量化や印刷再現性の向上などお客様が求める高品質な新聞用紙を生産しています。国内シェアは約30%を占め、首都圏をはじめ全国各地に安定供給しています。新聞用紙には、多くの古紙を使用し、紙のリサイクルにも貢献しています。
写真集や高級カタログに使用されるアート紙、雑誌やチラシに使用され るコート紙、書籍に使用される上質紙など、さまざまなニーズに対応する印刷用紙を取り揃え、日々の情報を伝達する役割を担っています。FSC認証紙やグリーン購入法適合製品など、環境配慮型の印刷用紙のラインナッ プも充実しています。
コピー用紙、フォーム用紙など、さまざまな情報処理システムを支える出力媒体を提供しています。きめ細かな品質設計と品質管理体制で、印刷方式や型式の異なるプリンターにも対応しています。印刷適性や加工の作業性をはじめ、生産性向上により高速化する印刷にも対応できる高品質な製品を取り揃えています。
王子グループ内の連携を深め、パルプ設備やバイオマス発電設備等の資産を最大限に活用し、収益力・競争力の強化に取り組んでいます。苫小牧工場では、2021年に新聞用紙マシン1台を段ボール原紙マシンに改造し、2022年には王子マテリア名寄工場から特殊ライナー・特殊板紙マシンを移設しました。2024年には新聞用紙・印刷用紙を生産するマシン1台を停止しました。海外では、江蘇王子製紙(中国)において既存のパルプ製造設備やバイオマスボイラ等を活用して家庭紙原紙マシンを新設し、2020年に稼働しました。構造的な環境変化や需要動向を踏まえ、最適生産体制の構築を進めると ともにキャッシュ・フロー経営を徹底し、固定的コストの削減、生産効率の改善を進めていきます。 2020年以降の生産体制の構築 ・2020年7月 江蘇王子製紙(中国)で家庭紙原紙マシンが稼働 ・2021年10月 苫小牧工場の新聞用紙マシン1台を段ボール原紙マシンへ改造 ・2022年4月 同工場に王子マテリア名寄工場から特殊ライナー・特殊板紙マシンを移設、稼働 ・2024年2月 同工場の新聞用紙・印刷用紙マシン1台を停止 苫小牧工場L-1号マシン(N-5号マシンを改造) 江蘇王子製紙 家庭紙原紙マシン(TM1)
既存事業で収益力・競争力強化に取り組んでいる一方で、GX戦略を積極的に進めています。GX戦略の一環として、苫小牧工場が所有する日本最古の産業用水力発電所で作る、再生可能で発電時にCO2を排出しないクリーンエネルギーを活用しています。さらに、この再生可能エネルギー由来の電力を用いて製造したグリーン水素とカーボンニュートラルな燃料由来のCO2を利用したe-methane(e-メタン)製造・活用について東京ガスグループと共同検討を開始しました。e-メタンは天然ガスの代替燃料として使用可能であり、全てが純国産であるため、国のエネルギー自給率向上にも大きく貢献します。事業化へ向けて2030年以降での本格的な設備投資を見据えています。持続可能なエネルギーソリューションで、脱炭素社会の実現に向けて取り組みを加速していきます。