環境負荷低減-汚染物質の削減-

方針

王子グループは、環境負荷を軽減することが、持続可能な社会の実現のために重要な課題と認識しています。排水・排気中の汚染物質による環境負荷を低減するため、環境行動目標2030、環境行動目標2040で汚染物質削減目標を設定し、取組を進めています。排水や排気に関連する法規制値よりも厳しい自主管理値を設定し、法令遵守の徹底に努め汚染の予防を推進します。

体制

目標と実績

排水の浄化

環境行動目標2030では、BOD※1、COD※2、SS※3の各排出原単位を2018年度を基準年として2030年度に15%削減としています。
2025年5月に策定した環境行動目標2040では、BOD、COD、SSの排出総量を2018年度を基準年度として2040年度に20%削減としています。

  • ※1 BOD:生物化学的酸素要求量
  • ※2 COD:化学的酸素要求量
  • ※3SS:浮遊物質・懸濁物質量
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  2018年度
(基準年)
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2030年度
(目標)
BOD 原単位
(kg/百万円)
5.48 5.48 5.93 5.28 3.67 3.33 3.31 4.66以下
削減率 - 0.1% 8.3% -3.6% -33.1% -3.2% -39.7% -15.0%
COD 原単位
(kg/百万円)
24.86 25.52 26.77 26.58 21.91 20.91 19.03 21.12以下
削減率 - 2.7% 7.7% 6.9% -11.9% -15.9% -23.4% -15.0%
SS 原単位
(kg/百万円)
10.62 11.08 11.11 10.31 8.16 7.53 7.14 9.02以下
削減率 - 4.3% 4.6% -2.9% -23.2% -29.1% -32.8% -15.0%

排気の浄化

環境行動目標2030では、SOx※4の排出量原単位は2018年度を基準年として2030年度に15%削減、また、VOC(Volatile OrganicCompounds)※5の排出原単位は2010年度を基準年として50%以上の削減としています。
2025年5月に策定した環境行動目標2040では、SOxの排出総量を2018年度を基準年として2040年度に50%、NOx※6の排出総量を2018年度を基準年として2040年度に10%削減としています。また、VOC排出原単位は2018年度水準を維持することとしています。

  • ※4 SOx:硫黄酸化物
  • ※5 VOC:揮発性有機化合物 
  • ※6 NOx:窒素酸化物
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2018年度

(基準年)

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2030年度
(目標)
SOx 排出原単位
(kg/百万円)
4.12 3.78 4.07 3.69 3.49 2.98 2.90 3.50以下
削減率(%) - -8.2% -1.3% -10.5% -15.4% -27.8% -29.7% -15.0%
VOC 排出原単位
(kg/百万円)
0.61 0.32 0.17 0.16 0.11 0.09 0.08 0.30以下
削減率(%) - -47.5% -72.1% -73.8% -82.0% -85.2% -86.9% -50.0%

取り組み

排水浄化の取り組み

法規制値遵守の管理

事業活動によって発生する排水中の汚染物質は、物理的・化学的および生物的処理を行って法規制値以下に低減したのち、様々な水域に排水しています。水域への排出水は、法律に基づく汚染物質量の測定や連続測定などによる管理を行い、自主管理値を超える場合は、操業を停止するなど汚染予防に努めています。

グループの各工場では、排水の水質を法令や条例による規制値よりも厳しい自主管理値で管理し、規制値を遵守しています。例えば、2023 年度の排水中のCOD(化学的酸素要求量)は、規制値並みに排出した場合と比較して51%以上低減させるなど、排水の浄化に努めています。

2023年度 排水中の汚濁負荷量※7(BOD・COD・SS)
グラフ:2023年度 排水中の汚濁負荷量
  • ※7 BOD(生物化学的酸素要求量) 
    好気性微生物によって有機物が分解されるときに消費される酸素 の量を示します。最も広く使われている汚濁の指標で、BODが高いと悪臭の発生などが現れはじめます。

    COD(化学的酸素要求量)
    酸化剤により有機物が酸化されるときに消費される酸化剤の量を酸素量に換算したものを示します。

    SS(浮遊物質・懸濁物質量)
    水中の微粒子状物
排水中の汚染物質削減

法規制値よりも厳しい自主管理値以下で排水するため、排水処理設備を設置、運用しています。具体的な取り組み事例を以下に示します。

王子製紙、王子マテリア
王子製紙、王子マテリアの各工場では、欧州委員会が環境保護の目的で、紙・パルプ製造において推奨している「利用可能な最善の技術」で推奨されている排水の高度な処理(BATに基づく、排水三次処理BAT.7.3.12)を実施しながら、前述の通り排水規制値に対してさらに厳しい自主管理値を設定して、排水の浄化に取り組んでいます。
技術情報の詳細は、Best Available Techniques (BAT) Reference Document for the Production of Pulp, Paper and Board(europa.eu)を参照。

IPI(イタリア)
生産に使用する水(硬水)の軟水化処理において、2023年にイオン交換樹脂からRO膜処理設備への変更を行いました。この変更により、排水中の塩化物イオンの発生が抑えられ、より効果的な排水の浄化を実現しています。

また、排水処理に関して、処理水質の改善と安定化、操業コストと操業管理の最適化を図るため、遠隔監視とAIを活用した高度な排水処理技術の開発をグループ内で開始し、今後の貢献が期待されます。2024年度、排水処理など水関連で必要となった費用および投資の総額は、それぞれ7,796百万円と1,076百万円でした。

排気浄化の取り組み

排出ガスの汚染物質の排出抑制

法規制値遵守の管理および監視プロセス

王子グループは、多くのボイラーおよびタービンを有しており、化石燃料、廃棄物燃料、再生可能燃料を直接燃焼して得られた電気や熱エネルギーを自家使用するとともに地域へ供給しています。直接燃焼によって発生する汚染物質の排出量に対して、法規制値以上の厳しい自主管理値を設定しており、自主管理値を超えた場合は、操業を停止するなどの汚染防止に努めています。この監視プロセスとしてオンライン連続排ガス監視システム(CEMS)をSOx、NOx、煤塵にて採用し、法規制遵守を確認しています。加えて主要な大規模工場ではオンラインで行政へ測定結果が送信されています。連続測定監視に加え、定期的に計量証明事業者(第三者)による分析を併せて実施しています。

排出ガスの汚染物質の削減

法規制値よりも厳しい自主管理値以下で大気汚染物質を排出するために、脱硫装置、脱硝装置、サイクロン、スクラバー、バグフィルター等の大気汚染物質削減設備を設置・運用しています。

VOC排出量は、日本製紙連合会の「削減率が2010年度実績と比較して業界全体で悪化しないように努める」という指針の下、王子グループでの削減目標を環境行動目標2030、環境行動目標2040で定め、削減に取り組んでいます。

データ