サプライチェーン・マネジメント

方針

王子グループの事業活動はサプライチェーン全体で環境・社会に正および負の影響を生じさせる可能性があり、特に原材料調達において人権侵害、森林破壊・転換、生物多様性の損失などの負の影響の防止・軽減が求められています。これらは信頼喪失や調達困難化、コスト増加のリスクとなる一方、持続可能な原材料調達は信頼関係強化や売上増加の機会につながります。 王子グループは、こうした負の影響の防止・軽減およびリスク低減のため、「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」と「木材原料の調達指針」を定めています。両指針を各調達部門で共有し、新規サプライヤーへ取引前の理解を求めるとともに、指針改訂時には全サプライヤーに周知徹底し、サプライヤーとの継続的な対話を通じた責任ある原材料調達を推進しています。

王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針

王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針は、サプライヤーとの協働により負の影響の防止・軽減およびリスク低減を実現するため、サプライヤーに対する要請事項を(1)法令・社会規範の遵守と公正な取引及び腐敗防止、(2)環境への配慮、(3)人権の尊重と労働慣行、(4)社会とのコミュニケーションの4分野について定めています。
本行動指針は、当社グループの人権尊重・腐敗防止に関する「王子グループ人権方針」および「王子グループ腐敗防止宣言」を、サプライチェーンにおいて実装するための文書として位置づけられます。両方針の趣旨をサプライチェーンの実務において実装し、サプライヤーに対する要請事項として具体化するものです。
サプライヤーへの調査や対話を通じて本行動指針の遵守状況を確認し、重大な違反等が確認された場合は改善要請を行います。改善が確認できない場合は、調達の停止を含む取引関係の見直しを行います。

2026年7月16日改訂

王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針

王子ホールディングス株式会社

基本的な考え方

王子グループは「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を定め、サプライヤーの皆様に対して当社の考え方を伝え、以下に定める項目への理解と実践を要請します。本行動指針は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」、OECD「責任ある企業行動のための多国籍企業行動指針」、ILO「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等に則り、サプライチェーンにおける責任ある企業行動の推進を目的として策定しています。
本行動指針は、王子グループ人権方針王子グループ腐敗防止宣言の趣旨をサプライチェーンの実務において実装し、サプライヤーの皆様に対する要請事項として具体化するものです。
王子グループは、本行動指針遵守をサプライヤーの皆様との取引条件の一部として位置づけ、遵守状況を確認します。本行動指針への重大な違反等が確認された場合には、サプライヤーの皆様との対話や改善要請を行います。改善が確認できない場合には、調達の停止を含む取引関係の見直しを行います。

サプライヤーの皆様への要請事項

王子グループはサプライヤーの皆様に下記項目の実行を要請し、サプライヤーの皆様とともに取り組みます。
また皆様のサプライチェーンにおいても同様の配慮をされることを期待します。

(1)法令・社会規範の遵守と公正な取引及び腐敗防止

事業活動を行う国や地域において適用される法令や社会規範を遵守して事業を行う。

  1. 関連する法令と国際条約などの遵守
  2. 公正な取引及び腐敗防止の徹底 (贈収賄・汚職その他の不正行為の禁止を含む)
  3. 自己または第三者の私的利益が業務上の判断に影響を及ぼす、またはそのおそれのある利益相反の状況の回避
  4. 製品及びサービス等の適正な品質の確保

(2)環境への配慮

事業活動において、地域社会と生物多様性・自然資本・気候変動・資源循環・環境汚染・その他環境問題への影響に配慮して事業を行う。

  1. 環境管理体制の構築・強化
  2. 生物多様性の保全
  3. 森林破壊・転換のない原材料調達(カットオフ日:2020年12月31日)
  4. 保護価値の高い(HCV)エリア・高炭素貯蔵林(HCS)・泥炭地の保全
  5. 水資源の保全
  6. 気候変動への対応
  7. 廃棄物の排出量削減と資源の有効活用
  8. 環境負荷の削減
  9. 化学物質の管理

(3)人権の尊重と労働慣行

従業員の人権を尊重するとともに、安全で快適な職場環境を確保する。

  1. 人権を尊重し、差別・各種ハラスメント・体罰を含む虐待等の非人道的な扱いの禁止
  2. 従業員による強制労働・児童労働を禁止するとともに、最低就業年齢に満たない児童の雇用を禁止
  3. 雇用における性別、人種、宗教等による差別の禁止
  4. 法定最低賃金を超える賃金の保障
  5. 従業員の団結権及び団体交渉権の尊重
  6. 法定限度の労働時間を遵守し、長時間労働を防止
  7. 従業員に対する安全で衛生的かつ健康的な労働環境の確保
  8. サプライチェーンを含めた安全衛生の推進

(4)社会とのコミュニケーション

事業運営にかかわる地域社会とのコミュニケーションを行う。

  1. ステークホルダーエンゲージメントによる信頼関係の構築
  2. 地域・社会への貢献
  3. 事業活動を行う地域の文化・慣習の尊重、並びに先住民族及び地域コミュニティ(IPLC)の権利の認識・尊重。(事業活動が先住民族及び地域コミュニティの権利に影響を及ぼしうる場合には、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)を尊重する。)
  4. 適切な情報の開示と保護

※この行動指針は王子グループが調達する全ての原材料を対象とします。木材原料については、別途「木材原料の調達指針」を定めています。

※「カットオフ日:2020年12月31日」とは、同日以降に森林破壊・転換が発生した土地で生産された原材料を調達しないことを意味します。

※環境や社会に配慮したサステナビリティ調達を効果的に推進するため、定期的にサプライヤーの皆様の本指針への遵守状況や環境・社会への配慮に対するパフォーマンスのモニタリングを実施します。

※当社グループとの取引に関連して、法令違反のおそれ、贈収賄・腐敗のおそれ、または利益相反のおそれ等がある場合、サプライヤーの皆様に対し、当該状況の適切な開示と対応を求めます。

※本行動指針に基づくモニタリング結果と年次進捗は、統合報告書・サステナビリティレポート・ESGデータ等を通じて毎年公表します。

※当社グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームに加入し、従業員・サプライチェーン・地域住民・先住民など全てのステークホルダーが利用でき、王子グループの国内外のバリューチェーン全体で発生する人権・環境への負の影響に対しての救済窓口を設け、適切な対応を行う体制を整備しています。

以上

王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針の翻訳

⽊材原料の調達指針

紙の原料となる木材は、持続可能な森林経営を行うことにより再生産が可能な、優れた資源です。また、森林資源は適正な管理と利用によって、二酸化炭素の吸収固定による地球温暖化防止、水資源の保全、生物多様性の保全等に貢献します。森林の管理と利用においては、森林破壊や違法伐採をせず、これらの環境的価値の維持・向上を図るとともに、人権の尊重、森林施業における労働者や伝統的権利の保護など、社会的責任も果たしていく必要があります。
王子グループは、責任ある原材料調達を実践するため、「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を制定し、さらに木材原料に対し「木材原料の調達指針(2005年制定)」を定め、原料の木質チップ・パルプの全てのサプライヤーから、当指針に基づく責任ある調達を推進します。さらに、人権問題や森林破壊等の社会的関心が高まる中、これら社会的課題に対応すべく、2023年3⽉に「木材原料の調達指針」を改訂し、以後も必要に応じて見直しを行っています。
同改訂指針は、日・英2つの言語で作成し、ウェブサイトに開示することにより、世界中のサプライヤーにその内容を伝達しています。

木材原料の調達指針(2024年改訂)

王子グループはすべてのサプライヤーに持続可能な木材原料を生産することを求め、検証します。特に、「トレーサビリティの確保および責任ある木材原料調達の実施」においては、以下の項目を実施します。
王子グループが調達する木材原料の全てのサプライヤーを対象に、下記の項目を継続的に調査し、原料のトレーサビリティを確保するとともに、適正に管理された森林より産出された原料のみを購入することで、責任ある調達を実施します。出所や森林管理状況が不明の木材、下記項目に適合しない木材は、サプライヤーとの対話・改善要請を行い、改善されないサプライヤーからの調達は行いません。

a.    原料の産地(伐採地域、森林所有形態、人工林・天然林の区別など)
b.    森林の管理方法(適用される森林法や森林管理規準など)
c.    森林認証の取得状況
d.    違法伐採による木材がないこと(森林認証、伐採許可証、原木の入荷記録等による確認)
e.    天然林から人工林または森林以外の土地利用に転換されている土地からの木材がないこと
f.    遺伝子組み換え材がないこと
g.    公的に保護価値が高いと認められた山林を伐採していないこと
h.    原料をめぐる重大な社会的紛争がないこと
i.    人権の擁護や労働者の権利保護に配慮していること

検証には森林認証制度のFSC®またはPEFCも活用します。
輸入木質チップの調査は船積みごとに実施します。引き取り単位が小さい国産木質チップおよびパルプの調査は年1回とします。

体制

サステナビリティ推進(ガバナンス)体制

サプライチェーンに関する方針・コミットメントおよび重要な対応方針については、サステナビリティ推進委員会(協議事項に「サプライチェーンリスク」「人権リスク」「腐敗防止」を含む)で審議し、重要性に応じてグループ経営会議に付議・報告し、取締役会がこれを監視・監督します。
サステナビリティ推進本部は、主要な原材料調達を管轄する王子グリーンリソース等の調達部門と連携・協働し、行動指針の遵守状況確認、サプライヤーサステナビリティ調査、サプライヤー人権・環境デューディリジェンスの実施、改善要請・フォローアップを推進しています。これら取組の状況・結果は、サステナビリティ推進委員会、グループ経営会議、取締役会の各レベルに重要性に応じて報告し、ガバナンス機関による継続的な管理・監督を確保しています。

目標 主要サプライヤーのサステナビリティ調査の実施
実績 古紙・パルプ・加工原紙・チップ・薬品・燃料(PKS、RPF他)・化石燃料・副資材(フィルム基材、インキ 他)に対するサステナビリティ調査の実施

苦情処理メカニズム

公平かつ公正な救済の提供

王子グループは、専門的な立場から会員企業の苦情処理を支援・推進する「一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」が提供する、国連指導原則に準拠した非司法的な対話救済プラットフォームを活用し、サプライチェーンにおける人権問題等の相談・通報を受け付けています。

同プラットフォームでは、人権をはじめ、責任ある企業行動全般(環境や自然に関する行動・倫理等も含む)の相談も可能なことから、取引先やサプライヤーの皆様をはじめ、地域コミュニティ、先住民、移民労働者など、国内外のあらゆるステークホルダーから通報を受け付けることができます。

通報フォームは以下の33言語で使用することができます。また通報受付においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。

【通報フォーム対応言語】
日本語・英語・中国語・韓国語・タイ語・ベトナム語・ポルトガル語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・インドネシア語・フィリピン語・マレー語・ヒンディー語・オランダ語・ミャンマー語・ネパール語・ポーランド語・ベンガル語・クメール語・チェコ語・アラビア語・デンマーク語・ハンガリー語・ロシア語・スロヴァキア語・トルコ語・タミル語・スウェーデン語・モンゴル語・スワヒリ語・シンハラ語

サプライヤーへの対応

王子グループは、サプライチェーン上の負の影響(環境汚染、人権侵害等)の防止・軽減およびリスク低減のため、相互に補完的に機能する以下の3つの取組を継続的に運用しています。

取組 調査目的 調査対象 対象範囲
サプライヤー
サステナビリティ調査
サプライヤーへの調査・改善要請を通じた、サプライヤー側で発生し得る負の影響の早期把握・是正 サプライヤー(企業)のESGパフォーマンス 取引金額で決定した主要サプライヤー
(約1,000社)
サプライヤー人権・環境
デューディリジェンス
重要サプライヤーへの個別の評価・是正措置、サプライヤーとの対話・協働 サプライヤー(企業)における人権・環境への負の影響 「サプライヤーリスク評価プロセス」で特定された重要サプライヤー
木材原料の
トレーサビリティの確認
原材料そのものの合法性・持続可能性検証、問題ある原材料の流入防止 原材料(木材原料)の出所・管理状況 木材原料サプライヤー

サプライヤーを対象とした2つの取組は、それぞれ役割分担のもと、主要サプライヤーを対象とした広範なリスク評価と、リスク評価結果に基づき特定した重要サプライヤーへの個別の是正措置として運用しています。原材料を対象とした取組(木材原料のトレーサビリティの確認)は原材料に起因する負の影響を防止・軽減します。両取組の並行推進により、サプライチェーンにおける負の影響を多角的に防止・軽減します。

サプライヤー・サステナビリティ調査

環境行動目標2030に基づき、サプライヤーのリスク評価を通じた法令遵守および環境・社会配慮型調達の推進のため、2020年度より主要サプライヤーを対象に調査を実施しています。2024年度からは、第三者であるアスエネ株式会社の調査プラットフォームを使用し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、UNGPs)、OECD「責任ある企業行動のための多国籍企業行動指針」、ILO「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際規範を参照しています。
調査を通じて、コンプライアンス違反等が確認された場合、サプライヤーとの対話や改善要請を行い、改善されない場合には、そのサプライヤーからの調達を停止します。

主要サプライヤー:王子グループの取引金額の上位75%に位置するサプライヤー(約1,000社)

2020-2024年度の結果はこちら

調査結果概要(2025年度)

2024年度までの調査で1,185社中、859社から回答を得ておりました(回答率約72%)が、2025年度からは新たな調査サイクルとして品目別に主要サプライヤーを再評価しています。2025年度は原紙・澱粉サプライヤーを中心に180社中、153社から回答を得ました。
UNGPs、OECD多国籍企業行動指針、ILO宣言等の国際規範や王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針に則り、ESG観点から以下の項目を確認し、得点比率によりランク分けしています。未回答のサプライヤーはEランクとします。

得点ランク比率
得点ランク 基準(得点率) 件数
Sランク 93.75%以上 74
Aランク 81.25%以上、93.75%未満 36
Bランク 62.5%以上、81.25%未満 36
Cランク 31.25%以上、62.5%未満 6
Dランク 12.5%以上、31.25%未満 1
Eランク 12.5%未満若しくは未回答 27
合計   180
8項目の合計得点に応じてランク付け

①ガバナンス ②人権 ③労働 ④安全衛生 ⑤環境 ⑥地域社会との共生 ⑦サプライチェーン ⑧情報セキュリティ・品質

フォローアップおよび今後の取り組み

王子グループではサプライヤーサステナビリティ調査の結果に基づき、そのフォローアップを実施しています。2025年度には前年度調査に基づき、コンプライアンス非遵守の疑いのある17社に対して追加調査を行い、結果問題がないことを確認しました。
また、サプライヤーのサステナビリティ意識の向上のトレーニングとして、調査結果のフィードバックと各種環境・社会課題の重要性に関わる説明会を年一回実施しています。2025年度は60社が参加しました。
2025年度の調査で未回答のサプライヤーに対しては、2026年度に再調査を行います。2026年度以降も品目別に主要サプライヤーへの調査を継続実施し、回答率の向上を目指すとともに、説明会、フォローアップを継続し、サプライチェーンマネジメントを強化します。

購入原紙に含有される木材パルプ(原紙メーカー調達)に関するサステナビリティ調査(2022-2024年度)

2022年度には、これまで調査対象外であった購入原紙に含まれる木材パルプ(原紙メーカー調達)の合法性調査を行いました。顧客指定原紙を除く531銘柄のうち木材由来が不明な5銘柄について2023年度より切替えを推進し、2024年5月までに全銘柄を合法性確認済みに切り替え、3社との取引を停止しました。また、検討中の購入原紙1種について合法性が確認できず、新規取引を見送りました。

調査対象 銘柄数 割合 備考
購入原紙 531 100% 顧客指定原紙を除く
内訳 使用木材の合法性が確認できている原紙 531 100% 森林認証を取得
使用木材の由来が不明な原紙 0 - 切替え完了
その他原紙 39 - 顧客指定原紙

サプライヤー人権・環境デューディリジェンス

サプライヤーリスク評価プロセスに基づき特定した重要サプライヤーに対し、UNGPsに従い評価・是正措置を実施し、負の影響を防止・軽減します。環境行動目標2040において年1回以上実施する目標を掲げています。

サプライヤーに対する人権デューディリジェンスの実施(2022-2024年度)

王子グループは、取引のあるサプライヤーに対して、『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(経済産業省)』に準拠したリスク評価を行いました。人権リスクの特定には以下4つの視点から評価を実施しました。

  • セクター・事業分野のリスク
  • 製品・サービスのリスク
  • 地域リスク
  • 企業固有のリスク

この評価により、3年間でリスクが大きいと判断される159社のサプライヤーを特定し、これらの企業に対して優先的に人権デューディリジェンスを実施しました。
実施の詳細については、王子ホールディングスの下記公開情報サイトをご覧ください。

2025年度からのプロセス

2022-2024年度の人権デューディリジェンス実績および2020年度からのサプライヤーサステナビリティ調査結果を踏まえ、負の影響の防止・軽減を継続的・体系的に行うため、新たに「王子グループサプライヤーリスク評価プロセス」を策定し、サプライヤー人権・環境デューディリジェンスのプロセスを構築しました。

王子グループサプライヤーリスク評価プロセス

王子グループは事業活動及びバリューチェーン全体の顕在化した若しくは潜在的な負の影響を特定・評価し、マテリアルな項目を決定しています。特に取引活動に関しては以下に示す「サプライヤーリスク評価プロセス」に従って人権・環境への負の影響の著しさをリスクとして数値化し、人権・環境におけるリスクが高いサプライヤーの順位付けを実施しています。そして本プロセスにより「サプライヤー人権・環境デューディリジェンス」の対象となる重要サプライヤーを決定します。なお、サプライヤーリスク評価プロセスは、専門的知見を持つ第三者である国際開発センター(International Development Center of Japan)よりレビューを受けています。本プロセスは2024年度に策定し、2025年度より運用を開始しています。

評価の枠組み
サプライヤーリスク評価プロセスはGRI 1:基礎2021、GRI 3:マテリアルな項目2021並びに該当する項目別スタンダードを参照し、作成しています。本プロセスによるサプライヤーの評価は毎年実施されます。

サプライヤーリスク評価方法
負の影響の著しさ(Significance)を以下式で定められる「リスク(R)」として数値化することでサプライヤーリスク評価を行います。本評価方法は定期的に見直しを実施します。
R = 深刻度 (Severity) × 発生可能性 (Likelihood)
深刻度はGRI 3に基づき人権・環境への負の影響の著しさの範囲・規模・是正困難度を取引額や前述のサプライヤー・サステナビリティ評価結果から1~5の範囲で数値化し、定義しています。
発生可能性はサプライヤーが提供する原材料の原産国に対し、国際的に権威のある文書を参照し、児童労働、強制労働、腐敗リスクから「国別リスク」を1~5の範囲で数値化し、定義しています。

重要サプライヤーの抽出
以上の評価結果から数値化されたリスクをマッピングし、設定した閾値以上のサプライヤーを重要サプライヤーとして抽出します。さらに、取引品目などから、人権・環境への負の影響が顕在化していることが確認されたサプライヤーについては上記リスク評価とは別に重要サプライヤーとして抽出します。

木材原料サプライヤーへの人権・環境デューディリジェンス(2025年度)

木材原料サプライヤーの状況確認
リスク評価結果および取引品目の影響に基づき木材原料サプライヤーを重要サプライヤーとして特定しました。木材原料調達部門が行う毎年のトレーサビリティ調査の機会を活用し、人権・環境デューディリジェンスの運用を開始しています。木材原料サプライヤーに「人権DD確認書」(確認項目:強制労働・児童労働の防止、結社の自由、移民労働者の保護、先住民族及び地域コミュニティの権利の尊重等)の記入を依頼し、2025年度は計383件の提出を受けました。

今後の取組 負の影響の防止・軽減に向けた対応と追跡調査
人権DD確認書および現地確認の結果を踏まえ、木材原料調達部門と連携して、現地訪問等を通じた負の影響の防止・軽減に向けたフォローアップを実施します。実施状況・結果の追跡調査によりモニタリングを継続し、結果は当ウェブサイト、サステナビリティレポート、統合報告書等を通じて開示します。

木材原料の調達指針に基づく責任ある調達

トレーサビリティの確認と調達状況

王子グループは、木材原料の調達指針に基づき、適正に管理された森林から生産された原料のみを調達しています。木材の原産地、森林管理方法、違法伐採材や保護価値の高い森林由来の木材の混入有無、人権の尊重などを確認項目として定めたトレーサビリティレポートを収集しています。原産地の森林からチップ工場、パルプ・製紙工場に至るまでの全工程を通じて、木材原料の出所を追跡可能です。木材原料の全サプライヤーからトレーサビリティレポートを取得し、規定項目の記載内容を第三者機関の監査で確認・検証しています。その監査結果については、以下の「調達実施時状況報告」にて開示しています。
2024年度は、国内外のチップ4,337千BDT(絶乾重量トン)、購入パルプ160千ADT(風乾重量トン)を調達しており、すべてのサプライヤー(チップ:295社、パルプ:28社)からトレーサビリティレポートを取得し(回収率100%)、木材原料の調達指針に則った適切な手順で調達がなされていることを、第三者機関の監査により確認しています。
主要な海外のチップ調達国には王子グループ社員が駐在しており、船積みの立会い、品質指導、サプライヤーとの業務打合せなどを実施しています。船積みに際しては、原料の出所や森林管理方法などを確認し、サプライヤーからのトレーサビリティレポートを取得しています。特に合法性の確認にあたっては、森林認証、伐採許可証、原木の入荷記録などの整備状況をサプライヤーに確認しています。国内においても、主要拠点に担当者を配置し、チップサプライヤーとの業務打合せなどを行うとともに、定期的に、原料の出所、森林管理方法などを確認し、トレーサビリティレポートを取得しています。
森林認証や木材原料の調達指針等の基準を満たさない事例が判明した場合には、サプライヤーとの対話を通じて改善を要請し、改善が見られない場合には、当該サプライヤーからの調達を停止します。さらに、認証基準および関連法令を含む、指針においてサプライヤーが満たすべき要件を遵守できるよう、関連情報の提供やベストプラクティス事例を活用した是正支援を継続的に行います。

トレーサビリティの確認
第三者機関監査の様子(ベトナム/QPFL)
トレーサビリティレポート

サプライヤーのモニタリング

王子グループでは、毎年、木材原料サプライヤーの工場や山林を訪問し、トレーサビリティレポートの根拠となる伐採許可書や関係書類の記録や保管状況を確認しています。また、労働者の権利を含む人権、安全衛生、環境への配慮の観点についても、現地視察やインタビュー等を通して、木材原料の調達指針の遵守状況をモニタリングしております。2024年度は、調達実績のあった海外チップサプライヤー全36社を現地訪問しました。モニタリングの結果、当年度の違反件数は0件でした。仮に違反やリスクが検出された場合は、サプライヤーに是正を依頼し、改善に努めます。

現地サプライヤーへのヒアリング(ベトナム)
現地サプライヤーとの山林視察(ベトナム)

ブラジル・CENIBRA社の林業奨励プログラム

1985年、CENIBRA社は地域の小規模農家を支援する目的で林業奨励プログラムを開始しました。本プログラムでは、苗木や肥料の提供、技術研修、伐期原木の購入保証を行い、持続可能な森林経営を支援しています。研修では、造林・病害虫管理に加え、労働安全、火災予防、適正な労働慣行などの社会課題も含まれ、参加農家が森林認証の要求事項に沿った管理を行えるようサポートしています。また、技術セミナーやフィールドデーを通じて優良事例の共有も行っています。
2024年は18,023haの植林地について558名の農家と契約を継続し、木材原料の約14%を本プログラムから調達しました。これらの長期的なパートナーシップは、地域の雇用創出、所得向上、生活の質の改善、環境保全に貢献するとともに、CENIBRA社にとっても安定した原料供給源として重要な役割を果たしています。
さらに、契約林地の生育・管理状況を把握するため、衛星画像を活用したモニタリングシステムを導入しています。このシステムは違法伐採や自然生態系の転換防止など、森林認証基準の遵守確認にも活用されており、アラート発生時には担当者が速やかに現地訪問し、農家と対話しながら適切な管理を支援しています。

担当者がモニタリングシステムを確認する様子
定期的に開催する技術ミーティングの集合写真

クリーンウッド法への対応

王子グループは、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)」※1に基づき、第一種および第二種登録木材関連事業者として2018年3月に登録を完了しました。
木材原料やバイオマス燃料の調達にあたっては、日本製紙連合会と連携し、合法証明デューディリジェンスを通じて合法性の確認を行っています。

  • ※1違法伐採された木材の流通・利用を防止し、合法伐採木材等の利用を促進することを目的として、2017年5月に施行。対象となる木材等や木材関連事業者の範囲、登録制度、事業者および国の責務などが定められている。

持続可能なサプライチェーンの実現にむけたイニシアティブ参加

王子グループは持続可能なサプライチェーンの実現に向けて、サプライチェーンにおける企業の環境・社会関連の情報を評価、開示し、環境負荷低減等の改善を目指すプラットフォーム(CDP、EcoVadis、Sedex)に参加しています。

データ