人財マネジメント

CEOメッセージ

「経営理念」、「パーパス」、「長期ビジョン」、そして「経営戦略」を実践していく上で、また、世の中に求められる、必要不可欠な企業として存続していく上で、カギとなるのは、多様な価値観と柔軟な発想を持った「人財」です。
王子グループでは、こうした一人ひとりの人財が、性別、年齢、障がいなどに関わらず、活き活きと働くことができるように、制度の充実と、文化の変革により、“風通しの良い”、“働きやすい”、“働きがいのある”職場づくりを進めています。
私たちは、事業環境が大きく変化していく中で、これからも、高い倫理観と変革意識を持ち、挑戦できる人財の育成に注力し、人的資本への投資を続けることで、従業員エンゲージメントとともに企業価値の向上に繋げていきます。

画像:王子ホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 磯野 裕之

王子ホールディングス株式会社
代表取締役 社長執行役員 CEO
磯野 裕之

人財育成方針

王子グループは、グローバル企業として「領域をこえ 未来へ」歩むとともに、「成長から進化」することを目指し、経営理念・パーパス(存在意義)・経営戦略(長期ビジョンを含む)を実践していきます。
これらを実践していく上で、また、世の中に求められる必要不可欠な企業として存続していくために、最も重要な要素は、「人」であると考え、「企業の力の源泉は人財(人的資本)にあり」という大原則の下、王子グループ人財理念に従って、人財確保、人財育成に取り組んでいます。
王子グループ人財理念として、まず、従業員一人ひとりに、高い倫理観を持つことを求めています。その上で、経営理念・パーパス・経営戦略を理解し、実践すること、変革意識を持ち挑戦すること、自己を研鑽し、組織の成長・進化に貢献すること、そして、世界を意識して行動することを求めています。
人的資本強化における目指す姿は、この王子グループ人財理念を体現する人財の確保、育成になりますが、その大前提となるものが、「コンプライアンス・安全・環境の徹底」、「人権の尊重」「インクルージョン&ダイバーシティ」、「人財マネジメント(実力主義に基づく公正な処遇とエンゲージメント向上)」であり、この3つこそが、人財育成、社内環境整備方針の基盤となります。この3つの基盤をしっかりと整えた上で、従業員一人ひとりの意識(行動)の改革や、管理職による部下の成長・進化を促すマネジメントを通じ、多様な人財の能力開発・キャリア形成およびワークライフマネジメント向上を促していきます。
これらにより、価値創造の源泉となる従業員一人ひとりが活躍し、能力を最大限に発揮することや、従業員の多様な価値観・発想からクリエイティブな成果を通じてイノベーションを実現させることで、王子グループ人財理念を体現する人財の確保、育成に繋がり、この一人ひとりの人財が、経営理念、パーパス、経営戦略(長期ビジョンを含む)を実践することで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

王子グループ共通の人財理念

人財教育

経営戦略実践に向けた人財教育

王子グループ人財理念に沿って人財育成を進めるため、キャリアのステージに応じた王子グループ内研修を充実させており、中でも経営戦略の完遂に向けてグローバル人財の育成に積極的に取り組んでいます。2023年度は22名を対象に海外駐在員候補の母集団拡充を目的にグローバルインテンシブプログラムを約半年かけて実施しました。また、海外事業会社のローカル人財育成を支援すべく東南アジアエリアの幹部候補27名を対象にアセスメント研修を実施しました。
人財交流・育成拠点「王子グループ富士研修センター」(静岡県富士宮市)ではグループ横断的な研修だけでなく、各事業会社が主催する研修も実施しています。この研修センターで実施する研修では、必ずコンプライアンス・安全・環境、長期ビジョン・パーパスについて、受講者に教育することで徹底と浸透を図っています。

<DXリテラシー教育>
ビジネス(戦略~作業)とデジタル(システム、情報、データ)を一本化することにより、経営課題を効果的に解決、新たな価値を創造し、企業としての生存、成長、進化させるデジタル・リテラシー(基本知識・スキル・マインド)をDX教育により全従業員が身につけるため、国内40社の間接部門従業員および、海外駐在員の約7千名を対象にeラーニングを実施しました。

王子グループ富士研修センター外観

従業員の能力開発・トレーニングの実績

自らがキャリア形成を考えて自発的かつ継続的に学ぶことに対し、積極的な支援・および評価をするために、正規従業員を対象に学位や資格取得を支援するための制度を設けています。

  • こちらの表は横にスクロールしてご覧いただけます。
研修名 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
実施回数 受講者数 総研修時間 実施回数 受講者数 総研修時間 実施回数 受講者数 研修時間 総研修時間 受講者数 研修時間 総研修時間
1.グローバル人材育成※1  
インテンシブプログラム                     6 16 96
(小計) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 16 96
2.新入社員  
グループ合同新入社員入社時研修 1 79 593 3 59 1,328 3 62 8 1,395 54 23 1,215
王子マネジメントオフィス新入社員研修 18 49 6,615 17 49 6,248 17 41 8 5,228 54 128 6,885
フォローアップ研修 1 49 368 1 49 368 1 40 8 300 53 10 504
(小計) 20 177 7,576 21 157 7,944 21 143 23 6,923 161 160 8,604
3.ダイバーシティ  
新任部長研修 2 45 360 2 63 284 2 65 7 423 4 9 34
ダイバーシティマネジメントWeb研修 - 2,000 2,000 - 2,479 2,479 - 2,640 1 2,640 234 1 234
キャリアアップ総合職研修 2 55 385 2 58 406 2 58 10 580 10 8 80
若手総合職キャリアデザイン研修 (2023年度) 2 71 497 2 66 462 2 67 7 469 12 8 90
育児休職復帰者セミナー (王子ホールディングス・王子マネジメントオフィス) 1 5 15 - - - 1 13 3 33 - - -
仕事と介護の両立に関する勉強会 (人員478名) 2 121 121 2 122 122 2 165 1 165 - - -
メンタルヘルスセミナー
(一人当たり研修時間 23時間)
            1 67 1 67 17 1 17
DX研修
(一人当たり研修費用 17,000円)
                    464 4 1,856
(小計) 9 2,297 3,378 8 2,788 3,753 10 3,075 29 4,376 741 30 2,311
合計 29 2,474 10,954 29 2,945 11,697 31 3,218 52 11,299 908 206 11,011
  • ※1 コロナ感染症対策の観点から2020~2022年度は未実施

人事制度

価値創造の源泉となる人財を活用し、経営理念・パーパス(存在意義)を実践し、経営戦略(長期ビジョンを含む)に沿った課題を確実に遂行するため、実力主義に基づく公正な処遇を目指しています。

  1. 役割等級制度
    「実質的年次」から「役割期待」および「成果」を基準とする実力主義の人事制度として「役割等級制度」を適正に運用し、従業員一人ひとりが、その保有する能力を通じて発揮した役割の大きさに応じて処遇しています。
    「役割期待」および「成果」の評価は年に2回実施し、異動・配置、昇降格、昇降給、期末手当の処遇に反映させています。
    「役割期待」の評価には、コンプライアンスや行動規範遵守の点も組み入れられています。
  2. 認定研究員制度・クリエイティブ人財育成制度(裁量労働制)
    特に高度な専門知識を有する研究員には、「認定研究員制度」や「クリエイティブ人財育成制度」により働き方の裁量を与え、研究に集中できる環境を提供することで多様な価値観・発想からクリエイティブな成果を通じたイノベーションの実現を推進しており、2022年度より、それ以前と比較し、「クリエイティブ人財育成制度」の対象者を約2倍に拡大しています。
  3. 65歳定年制
    高年齢者にも活き活きと活躍してもらうことを目的に、2017年度より、会社生活で培った知識、技能、技術を存分に発揮し、意欲をもって働けるよう、国内主要グループ会社「65歳定年制」を導入し、また、2023年度より、一定の条件を満たす従業員を対象に最長67歳までの「再雇用制度」を導入しました。

エンゲージメント向上の取り組み

従業員を対象とした複数の調査※1、2、3に、「仕事のやりがい」や「就業継続意欲」「活力」「誇り」等の調査項目を盛り込み、会社への満足度を定期的に把握する機会を設けています。調査結果は各職場にフィードバックされ、職場環境の改善に活用されています。
また、2023年度に実施した意識調査の結果や従業員へのアンケートの結果もふまえ、新たにCEOやHD役員とのタウンホールミーティングを実施しています。

  • ※1 自己申告制度
  • ※2 コンプライアンス意識調査
  • ※3ストレスチェック

タウンホールミーティング

経営理念をはじめとした経営⽅針、事業戦略を浸透させ、さらに現場の⽣の声を聞く(取り⼊れる)ことにより、双⽅のコミュニケーションを深め、事業運営の意思統⼀、組織の⼀体感や⾵通しの良い職場の醸成、従業員のエンゲージメント向上を図ることを⽬的に、タウンホールミーティング(経営陣と従業員との直接対話)を実施しています。

公募制度

従業員の意思に基づく自律的なキャリア形成を促進し、意欲の高い人財の適正配置、有効活用により、事業の強化、組織の活性化、従業員エンゲージメント向上を図ることを目的として、2022年度から国内グループ会社正規従業員および海外駐在員を対象として公募制度を実施しています。
2023年度は、パーパスおよび長期ビジョンの実現に向け、「森を育て、森を活かす」こと、グローバル化の推進に直結する王子グループ3社4部門で公募を実施し、合計17名の従業員が異動しました。

自己申告制度

今後の評価や能力開発、適正配置等に繋げるため、年に1度、これまでの業務経験、現在の仕事に対する考え方や目標・課題、将来の生活設計等について、面談を通じ上司、会社と共有する制度。

コンプライアンス意識調査

各職場におけるコンプライアンスの状況をモニタリングするため、2年に1回、国内で王子グループ全役職員(パート、アルバイト、派遣社員を含む)を対象に実施しています。実施結果は、グループ経営会議にて報告、各グループ会社のコンプライアンス推進リーダーにフィードバックしています。

ストレスチェック

王子グループでは、年1回、ストレスチェックを共同で実施しており、2022年度は106社が参加しています。実施結果については、組織分析を行った上で、各社、各部門責任者および実施事務従事者を通じ、組織分析のフィードバックし、職場環境改善につなげています。

多様な働き方

王子グループでは、「企業の力の源泉は人財にあり」という考え方に基づき、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、「企業行動憲章」において、働くすべての人々の能力を高め、多様性(ダイバーシティ)、個性を尊重する働き方、および安全と健康に配慮して働きやすい職場環境を整備する、と定めています。

基本方針

  • 1か月の所定時間外労働の上限を60時間とする。
  • 各従業員の年間出勤日のうち、19時までに退社する割合を80%以上とする。
  • 年次有給休暇付与日数の8割以上を取得することを目標とする。

目標と実績

「多様な働き方の推進」では、「総労働時間1850時間(王子グループ本社地区26社対象)」を目標に、時間外労働の削減、長時間労働の改善に取り組んでいます。
2023年度の実績は1835.3時間でした。

総労働時間削減の実績(王子グループ本社地区26社)

取り組み

経営戦略に沿った課題を確実に遂行するため、以下の取り組みの推進により、総労働時間削減や業務効率化に取り組んでいます。

  • 在宅勤務
  • フレックスタイム制(適用者は始業・終業時間を自ら選択可、コアタイムなし)
  • 休日出勤の完全振替化
  • 年休取得推進 等

福利厚生

王子グループでは、多様な福利厚生制度により、従業員と家族の生活を支援しています。

社宅・独身寮

自宅から通勤が困難な従業員に独身寮・社宅を提供し、転居を伴う異動に対しても安心して赴任できる体制を整えています。また、都内の社宅には企業主導型保育施設を併設し、従業員の仕事と育児の両立を支援しています。

財産形成

財産形成貯蓄制度(一般、年金、住宅)は、従業員が毎月の給与や賞与から任意の金額を会社が契約した金融機関へ貯蓄を行う制度です。住宅財形では、一定年齢までの従業員に対し、積立額の10%相当額を奨励金として支給し、住宅取得を支援しています。

従業員持株会

毎月の拠出金による株式の保有で会社とより一体感を高める中で、従業員が経営参画意識を醸成する機会にもなり、拠出金に応じて会社が奨励金を付与する、安心・安定的な福利厚生制度です。2024年9月現在、王子グループ従業員持株会には、国内王子グループ81社、5,114名が加入しており、加入率は26.0%、当社株式の2.075%を保有しています。なお、当会加入者の中には正規外従業員も含まれています。

確定拠出年金

王子グループの主要な会社では、65歳に定年年齢を引き上げるとともに、65歳まで加入可能な確定拠出年金を導入しています。従業員が任意で掛金を上乗せすることもでき、一人一人のライフプランにあわせた豊かな老後を支えるための資産形成を支援しています。

リフレッシュ休暇

心身をリフレッシュし、気持ちをあらたに業務に励んでもらうために、勤続10年、25年、30年を迎える従業員に対し、リフレッシュ休暇を付与しています。

保育所補助

女性従業員が出産後、早期に復職した場合には、保育施設利用にかかる費用の一部を補助し、女性の継続的なキャリア形成を支援しています。

配偶者転勤休職

配偶者が外国で勤務等をすることになった場合に、配偶者と生活をともにすることを希望する従業員には、一定期間休職できる制度を導入しています。

社員食堂

本社をはじめ多くの事業所で社員食堂を設置し、栄養バランスの取れた食事を提供しています。

グループ保険

団体契約で保険料が割安な様々な保険をあっせんしています。

融資制度

従業員の持家の推進を図るための「住宅融資」、子女の就学援助や災害、傷病時の支援を行うための「一般融資」の制度を導入し、従業員の支援を行っています。

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