- 方針
- 体制
- 人権デュー・ディリジェンス
- 人権に関する相談・通報の窓口について
- 人権デュー・ディリジェンスの結果(2023年度)
- 人権デュー・ディリジェンスの結果(2022年度)
- 主要な人権課題と取り組み
- 教育と浸透
- データ
- カスタマーハラスメントに対する基本方針
王子グループは、「王子グループ人権方針」を遵守し、グループ一体となって人権尊重の取り組みを推進しています。従業員一人ひとりが正しい理解と認識を持てるよう、ダイバーシティ研修や各カンパニーの階層別研修等において人権に関する教育を組み込むことで社内教育を充実させ、全従業員の人権意識の向上を図っていきます。
方針
王子グループは、人権を尊重する責任は重要なグローバル行動基準と考えており、人権尊重に関するこれまでの取り組みをより一層推進・実践するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」等に基づき、「王子グループ人権方針」を制定しています。2025年1月には国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームへの加入に伴い、方針を一部改訂しました。
本方針の下、グループ一体となって人権尊重の取り組みを行うとともに、国内外のグループ会社に対しても基本方針の周知徹底を図っていきます。
(人権方針の翻訳版は、下部をご参照下さい。)
王子グループ人権方針
王子グループは、「人権の尊重」をグローバル行動基準として認識しており、ここに人権に対する基本姿勢として「王子グループ人権方針」を定め、これからも人権の尊重に一層努めるとともに、個々人の多様な価値観を尊重し、能力を最大限に発揮できる社会の実現に貢献してまいります。
1. 基本原則
私たちは、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」、OECD「責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」及びILO「多国籍企業宣言」に基づき人権尊重への取り組みを推進しており、「国際人権章典(世界人権宣言及び国際人権規約)」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言※1」、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」等の国際規範や、これに基づく先住民族の権利に関する「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意」に関する権利等の国際人権を支持・尊重します。
私たちは、国際的な人権規範と各国の国内法が異なる場合には、より高い基準に従い、両者の間に矛盾がある場合には、国際的に認められた人権を最大限尊重するための方法を追求します。
また、私たちは、国連グローバル・コンパクト署名企業として、国連グローバル・コンパクト10原則を支持しており、本方針は社内外からの専門的助言を受けて策定しております。
- ※1 中核的労働基準「児童労働の禁止」「強制労働の禁止」「雇用及び職業における差別の撤廃」「結社の自由・団体交渉権の承認」「安全で健康的な職場環境」を含む。
2. 適用範囲
本方針は、王子グループの役員及び従業員に適用されます。
また、私たちの事業、製品又はサービスと直接関連するビジネスパートナー及びその他の関係者に対しても、本方針に沿った人権の尊重を期待し、「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」等を踏まえて、継続的な働きかけを行います。
3. 人権に関するガバナンス
私たちは、人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項について、サステナビリティ推進委員会(委員長:CEO、委員:全カンパニープレジデント他)で審議し、取締役会が監視・監督します。
4. 人権デュー・ディリジェンス
私たちは、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」において記述される手順に従って人権尊重の責任を果たすため、ステークホルダーの視点も踏まえて人権デュー・ディリジェンスを実施しています。これにより、企業活動を通じて引き起こされ若しくは助長され得る人権への負の影響又は事業関係によって私たちの事業、製品又はサービスと直接関連しうる人権への負の影響を、ステークホルダーとの継続的な対話によって把握し、特定・防止・軽減に努め、それらの効果の検証を継続的に実施します。
王子グループは、本方針の理解と効果的な実施のため、全役職員に対して適切な教育を行います。
5. 是正・救済
私たちは、私たちが人権に対する負の影響を引き起こしたり、助長したことが明らかになった場合、関係者と対話し、適切な手続きを通じてその是正に取り組みます。また、ビジネスパートナー又はその他の関係者を通じて、私たちの事業、製品又はサービスが人権への負の影響に直接関連している場合は、これらの関係者に対する是正の働きかけを検討します。
王子グループでは、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームに加入し、従業員・サプライチェーン・地域住民・先住民など全てのステークホルダーが利用でき、王子グループの国内外のバリューチェーン全体で発生する人権・環境への負の影響に対しての救済窓口を設け、適切な対応を行う体制を整備しています。同プラットフォームを通じて通報を受けるにあたっては、通報者の匿名性と通報内容の機密性を確保し、通報者には通報したことで不利益が生じないよう保護することを約束します。
また消費者や社外のステークホルダーに対しても、相談窓口を当社ウェブサイトに設けています。更に王子グループの全役職員を対象に、相談・通報等ができる「企業倫理ヘルプライン※2」を運用しており、法令違反・不正行為(労務関係、ハラスメント関連を含む)の相談を受け付けています。
- ※2 社外窓口への相談通報の際、男性弁護士または女性弁護士の希望を伝えることができます。
6. 対話・情報開示
王子グループは、本方針に基づく人権に関する取り組みについて、外部人権専門家の協力も得ながら、ライツホルダー及びその他の関連するステークホルダーとの対話・協議を行います。
人権尊重の取り組みの進捗状況については、当社ウェブサイト、統合報告書、有価証券報告書等を通じて適切に開示・報告してまいります。
本方針は、当社の取締役会の承認を得ており、CEOにより署名されています。
王子ホールディングス株式会社
代表取締役 社長執行役員 CEO
磯野 裕之
制定:2020年8月4日
改訂:2024年2月26日
改訂:2025年1月28日
王子グループ人権方針の翻訳
体制
人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項について、サステナビリティ推進委員会(委員長:CEO、委員:全カンパニープレジデント他、年2回開催)で審議し、取締役会が監視・監督します。
人権デュー・ディリジェンス
私たちは、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」において記述される手順に従って人権尊重の責任を果たすため、ステークホルダーの視点も踏まえて人権デュー・ディリジェンスを実施しています。これにより、企業活動を通じて引き起こされ若しくは助長され得る人権への負の影響又は事業関係によって私たちの事業、製品又はサービスと直接関連しうる人権への負の影響を、ステークホルダーとの継続的な対話によって把握し、特定・防止・軽減に努め、それらの効果の検証を継続的に実施します。
私たちは、私たちが人権に対する負の影響を引き起こしたり、助長したことが明らかになった場合、関係者と対話し、適切な手続きを通じてその是正に取り組みます。また、ビジネスパートナー又はその他の関係者を通じて、私たちの事業、製品又はサービスが人権への負の影響に直接関連している場合は、これらの関係者に対する是正の働きかけを検討していきます。
是正・苦情処理メカニズムの構築については、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームに加入し、従業員・サプライチェーン・地域住民・先住民など全てのステークホルダーが利用できる救済窓口を設置しています。これにより、王子グループの国内外のバリューチェーン全体で発生する人権・環境への負の影響に対して、適切な対応を行う体制を整備しています。
さらに、消費者や社外のステークホルダーに対しても、相談窓口を当社ウェブサイトに設けています。これらの相談・通報の過程では通報者の匿名性や内容の秘匿性を確保し、通報者が不利益を被らないように対処しています。ステークホルダーとの対話では、2024年度、移民労働者の割合が高く、当社グループの生産拠点数の多いマレーシアで、海外事業所で働く移民労働者を対象としたインタビュー等を実施しました。

人権に関する相談・通報の窓口について
王子グループでは、全てのステークホルダーから人権に関する相談・通報いただける窓口を開設しました。
王子グループは、専門的な立場から会員企業の苦情処理を支援・推進する「一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」が提供する、国連指導原則に準拠した非司法的な対話救済プラットフォームを活用し、相談・通報を受け付けています。
同プラットフォームでは、人権をはじめ、責任ある企業行動全般(環境や自然に関する行動・倫理等も含む)の相談も可能なことから、サプライヤーの皆様をはじめ、地域コミュニティ、先住民、移民労働者など、国内外のあらゆるステークホルダーから匿名での通報を受け付けることができます。
JaCERを活用した苦情処理メカニズムのプロセス
王子グループでは、JaCERを窓口として、通報案件の内容を確認いたします。相談対象と判断された事案に関しては、JaCERが通報者との情報交換・事案分析を行い、王子グループはその情報を受けて、通報者と対話し、事案解決に努めます。対応結果および進捗は、JaCERホームページ上のグリーバンスリストで公開されます。
人権デュー・ディリジェンスの結果(2023年度)
1. 人権アセスメントの実施
2023年度アセスメントの対象サプライヤーは、高リスク事業範囲を想定したのち、経済産業省資料のスコアを参考にスクリーニングを実施して決定しました。本選定方法については第三者機関に合理性、正統性を確認しています。
アセスメント対象
- サプライヤー62社(回答率80.6%)
- 検討の結果、今年度の対象業種をチップ、木質燃料、でんぷん・とうもろこし、木材製品、PKS、麻に決定しました。
- 経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」より、「産品別人権リスク」「地域別人権リスク」のスコアも参考に対象会社を選定しました。
アセスメント対象の人権課題
- 差別の禁止
- 先住民・慣習の尊重
- 強制労働の禁止
- 児童労働の禁止
- 労働時間・休暇の公正な適用
- 賃金
- 結社の自由・団体交渉権
- 従業員の安全衛生
アセスメント結果
- 顕在化した人権リスク事例:なし
- 潜在的な人権リスクの事例:7項目
①人権方針の周知
②人権推進体制の明確化
③救済措置
④児童労働・強制労働の禁止
⑤適正な賃金
⑥結社の自由
⑦職場の安全衛生 - 実施された是正措置:上記の人権重要項目に不備が認められたサプライヤー3社に改善を依頼し、「実施確認書」の提出を受けた。
- 潜在的なリスク特定比率:6.0%(3社/50社)
- 潜在的なリスク軽減実施比率(改善依頼の実施):100%(3社/3社)
2. 自社マネジメントへの統合
日本国内での外国籍労働者の労働環境の把握のため、2023年度国内新規連結3社※3の外国人社員労働者(技能実習生、派遣社員を含む)の雇用状況や関係法令等の遵守状況を確認しました。その結果、法令遵守、処遇面で問題は認められませんでした。
- ※32022年度は国内連結92社を対象に調査を実施
3. モニタリング(紛争等影響地域における人権アセスメントの実施)
人権アセスメントを実施する中で、東南アジア地の紛争等影響地域サプライヤーに対する人権アセスメントの実施について、現地マネジメント会社と意見交換を行いました。第三者機関からの意見も参考に、2023年度は当該地区グループ会社を通したアセスメントを実施しました(対象3社)。引き続き情報収集を行い、当該地域の動きを注視していきます。
4. 対話・協議
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)のヒューマンライツ・デューディリジェンス分科会、ESG分科会に参加し、他企業、NPO等の有識者との情報交換を実施しました。またILO駐日事務所、GCNJ共催「国際人権・労働基準の尊重に向けた企業内専門人材の育成プログラム」第一期(2023年10月~2024年2月)に担当者1名が参加・修了しました。
人権デュー・ディリジェンスの結果(2022年度)
1. 人権アセスメントの実施
2022年度は、連結会社と、サプライヤー・サステナビリティ調査対象のうち海外の木材原料サプライヤーを対象に、人権や労働慣行を確認する人権アセスメントを実施しました。重大な人権リスクは特定されませんでしたが、潜在的な人権リスクとなりうる組織上の問題点(人権関連の責任部署や担当が不明瞭など)がある事業所については改善を依頼しました。
アセスメント対象
- 国内外連結会社(157社※4、回答率96.8%)
- 海外の木材原料サプライヤー(39社、回答率100%)
- ※4従業員が少数、管理部門共通等の対象を除外
アセスメント対象の人権課題
- 差別の禁止
- 先住民・慣習の尊重
- 強制労働の禁止
- 児童労働の禁止
- 労働時間・休暇の公正な適用
- 賃金
- 結社の自由・団体交渉権
- 従業員の安全衛生
アセスメント結果
連結会社
- 顕在化した人権リスク事例:無し
- 潜在的な人権リスクの事例:5
- 人権尊重に関する体制、責任者が不明確:3社
- 相談窓口周知の体制、責任者が不明確:2社 - 実施された是正措置
- 人権尊重における体制と責任者の明確化:3社
- 相談窓口周知の体制と責任者の明確化:2社
サプライヤー
- 潜在的なリスク特定比率:5.1%(2社/39社)
- 潜在的なリスク軽減実施比率(改善依頼の実施):100%(2社/2社)
2. 自社マネジメントへの統合(外国籍労働者の労働環境把握)
日本国内での外国籍労働者の労働環境の把握のため、国内連結会社92社を対象に、外国籍社員労働者(技能実習生、派遣社員を含む)の雇用状況や関係法令等の遵守状況について、調査を実施しました。外国籍労働者を雇用する23社において、法令遵守、処遇面で問題は認められませんでした。
3. モニタリング(潜在的人権リスクの調査と事例共有)
人権アセスメントでは重大なリスクは特定されませんでしたが、経済産業省「人権尊重のためのガイドライン」で外国人、女性や子ども、障がい者、先住民族等が脆弱な立場に置かれることが多いとされていることから、本年度の潜在的な人権リスク調査の対象を「技能実習生を含む外国籍労働者雇用事業所」とし、社外専門家(経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会)によるインタビュー調査を、グループ会社の王子パッケージングで実施しました。
対象
王子パッケージング技能実習生:8名
結果

CRTからは、労働時間・賃金・健康と安全・コミュニケーション等について大きな問題はなく、良好な信頼関係を構築できていることが確認できたとの報告を受けました。
事例共有
CRTのアドバイスにより、本インタビューの結果をベストプラクティスとして当社グループ内で事例共有したほか、技能実習生を受入れている4社に、労働慣行等の状況確認を行いました。概ね良好でしたが、給与明細や事業場内災害防止標識が日本語表記のみの事業所があることがわかり、改善ポイントを共有し、今後の改善意向等を確認しました。
4. 対話・協議
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの人権教育分科会、ヒューマン・ライツ・デュー・ディリジェンス分科会に参加し、他企業、NPO等の有識者と情報交換を実施しました。
主要な人権課題と取り組み
王子グループは、国際人権章典等の国際規範を支持、尊重しており、以下の項目を人権に関する重要課題と認識し、取り組みを進めています。
雇用(公正な処遇・賃金)
王子グループは、「王子グループ人権方針」において、「雇用及び職業における差別の撤廃」を含む中核的労働基準を支持・尊重しています。また、「王子グループ行動規範」において、従業員を含めたすべてのステークホルダーの人権を尊重しながら事業活動を行うことを定めています。
具体的な取り組み
- 従業員の賃金については、各国で定められる最低賃金基準を上回る賃金を定め、従業員の生活水準の維持向上を図るよう努めています。
- 適用される賃金に関するすべての法律(同一労働同一賃金等)に準拠し、公平で公正な報酬を従業員に支払います。
- 定期的に内部監査を実施し、国内外の関係会社の就業規則が法律に則っているか、また遵守されているかを確認しています。
- 事業を行う地域社会とともに持続的に成長を続けるため、各拠点で現地採用を積極的に行っています。
安全で健康的な職場環境
王子グループは、「王子グループ人権方針」において、「安全で健康的な職場環境」を含む中核的労働基準を支持・尊重しています。また、「王子グループ行動規範」において、職場の安全衛生の確保と安全行動を実践し、事業に関わる全ての関係者の安全衛生を確保する、と定めています。2020年10月には「王子グループ健康宣言」を制定し、最高健康責任者(グループCEO)のもと、従業員の健康確保に取り組んでいます。2021年度からは王子ホールディングス、王子マネジメントオフィスが「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。
具体的な取り組み
国内従業員に対しては、定期健康診断実施および二次検査・特定検診の積極的な勧奨を行い、生活習慣病をはじめとする疾病の予防・早期発見・治療につなげるよう努めています。また、メンタルヘルス対策の推進、ストレスチェックの実施、総労働時間の削減・年休取得率の向上などの働き方改革推進によって過重労働による健康障害の防止、職場環境の改善整備を行っています。海外駐在員に対しては赴任前の健康診断、予防接種、メンタルヘルスアセスメント、赴任中の定期検診やそれに伴う適切な指導を実施しています。
海外では、HIV/エイズ、結核、マラリアの問題が重要課題である国も存在します。これらの世界的な健康問題の解決に向けて当グループも積極的に貢献するべく、海外事業地ではコミュニティのための様々な健康・衛生改善プログラムを実施しています。また、海外植林会社は、地域社会の医療のために公共サービスへのアクセスが困難な地域で、健康診断、診療所の開設、緊急輸送支援などの医療支援を行っています。
労働安全衛生(ハラスメント防止)
王子グループは、「王子グループ行動規範」において、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどのハラスメント行為、プライバシーの侵害を一切行わないこと、また他人がこれを行うことも認めない、と定めています。また就業規則にも「ハラスメント防止規程」を制定し、身近な人権侵害であるハラスメントの防止に取り組んでいます。
結社の自由と団体交渉
王子グループは、「王子グループ人権方針」において、「結社の自由・団体交渉権の承認」を含む中核的労働基準を支持・尊重しています。また、グループ内では王子マテリア、王子コンテナー、森紙業、王子ネピア、王子エフテックス、王子イメージングメディア、王子グリーンリソース、王子製紙、王子マネジメントオフィス、王子物流等、主要会社を中心に社員による労働組合が組織され、団体交渉、労使協議を通じ労働協約を締結しています。
具体的な取り組み
経営側とグループ内で最大の労働組合である王子製紙新労働組合(組合員数は2024年6月1日現在2,287名で組合加入率は97.6%)との間では、「企業の社会的責任と使命を認識し、従業員の労働条件の向上と企業の繁栄は基本的に相互依存の関係にあることを認め、相互の信頼と理解の上に協力して安定した労働関係の確立のため努力する」ことを、労働協約の序文で確認し、給与・賞与・福利厚生の労働条件について、労使対等の立場で協議を行っております。また、労使間のコミュニケーションの場である労使委員会等、経営情報の共有や経営諸課題について話合う場を適宜設け、健全な労使関係を築いています。
児童労働・強制労働の禁止
王子グループは、「王子グループ人権方針」において、「児童労働の禁止」「強制労働の禁止」を含む中核的労働基準を支持・尊重しています。また、「王子グループ行動規範」において、児童労働、強制労働は、これを一切認めないと定めています。子どもはその権利が侵害されやすく、人権に関し特別な配慮が必要であると考えています。当社グループは子どもの人権に関する国際連合やILO諸条約の内容に賛同し、子どもの権利が尊重されるよう配慮し、地域毎に取り組みを行っています。
具体的な取り組み
ブラジルの植林事業会社CENIBRAでは、地域社会や学生(主に中学生)に対し、以下のような項目について理解を深める取組みを行っています。
- 未成年の妊娠、AIDS・梅毒・淋病等の性病予防
- 家庭内暴力
- セクハラ
- いじめ
- デング熱、黄熱病の予防
- 麻薬等
先住民族の権利(地域文化の尊重)
王子グループは、「王子グループ人権方針」において、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意」等の国際人権を支持・尊重しています。また、「王子グループ行動規範」において、国際社会の一員として、各国・地域の文化・慣習、価値観を尊重して、各国の人々と誠実に、力を合わせて事業の発展に取り組む、と定めています。
グローバルな活動を進める中、人権尊重の一環として、先住民がいる地域での事業活動においては、先住民の固有の文化や歴史を理解の上、同地域の法律や国際的に決められた権利への配慮を行います。
具体的な取り組み
- 北海道平取町内の社有林の中に、アイヌ民族が祈りの対象とする岩山(チノミシリ)や地域の方々の自然観や伝統文化を支える場所があります。当該地域の価値を生かすため、平取アイヌ協会、平取町と対話を重ね、「文化的景観を有する社有林において、森林の保全とともにアイヌ文化の継承、振興に活用し共存を図ることを目的とする協定」を、2017年に3者間で締結しました。
- オーストラリアの植林事業会社APFL社及び一般材購入の植林地における、先住民(Aboriginal People)の墓地や、伝統的行事等を尊重し、当該地へのアクセスを確保しております。また、伐採予定地が保護対象として登録されている場合があるため、関係行政機関への問合せ・確認等を行っています。
地域コミュニティとのエンゲージメント
ブラジルのCENIBRA社では、植林地周辺の農家の安定した収入をサポートするために、農業、植林、養蜂等の支援を行っています。さらに市や地元NPOと連携して、若手企業家支援のために無料の講義とトレーニング、教科書、食事、交通等を提供しています。また資材や物品等の現地調達化を進め、現地の経済活動の促進を図っています。
教育と浸透
王子グループは、「王子グループ人権方針」を遵守し、グループ一体となって人権尊重の取り組みを推進しています。従業員一人ひとりが正しい理解と認識を持てるよう、ダイバーシティ研修や各カンパニーの階層別研修等において人権に関する教育を組み込むことで社内教育を充実させ、全従業員の人権意識の向上を図っていきます。
人権教育
王子グループでは、方針の理解や人権意識の向上を図るため、人権教育を継続実施しています。2023年度は、人権アセスメント実施に先立ち、サプライヤーとの窓口となる調達担当部門を対象とした研修を実施し、ビジネスと人権への認識を深めました。また「企業価値に直結する人権対策」「ビジネスと人権に関するリスクマネジメントの基礎」を学ぶ研修を実施し、王子グループの管理職2,547名が受講しました。
その他にもポータルサイトに「王子グループ人権方針ハンドブック」や各種資料を掲載し、英訳版を新たに作成し、グループ内の人権教育に活用しています。今後も引き続き研修を進めるなど、人権意識の向上に努めていきます。
また国内のグループ会社全役職員に対し「コンプライアンス意識調査」を行い、ハラスメントを含むコンプライアンス意識や職場でのコンプライアンス上の問題点を定期的にモニタリングしているほか、海外グループ会社も含め、内部監査部による定期的なコンプライアンス遵守状況の監査も実施しています。またコンプライアンス意識の醸成のために、国内外のグループ会社において、ハラスメント等の出張研修を実施しています。
データ
カスタマーハラスメントに対する基本方針
1.はじめに
王子グループは、「領域をこえ未来へ」をコーポレートスローガンとして掲げ、「森林を健全に育て、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」ことをパーパスとして事業を展開し、お客様に対し「有用で安全な製品、サービスの提供」に取り組んでおります。
当社グループの製品、サービスの利用に伴うお客様のご意見・ご要望は真摯に受け止め、誠実に対応することを心がけていますが、一方で一部のお客さまからカスタマーハラスメントに該当する行為が確認された場合は、企業行動憲章として掲げる「法令等の遵守と公正な事業活動」「安全と健康に配慮した働きがいのある職場環境の整備」「人権の尊重」に則り、毅然とした態度で対応し、従業員一人ひとりの健全な就業環境の確保と人権の保護に努めた上で、質の高い製品、サービスを持続的に提供し真に豊かな社会の実現に貢献することを目指してまいります。
2.カスタマーハラスメントの定義
お客様※の言動のうち、従業員が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該従業員の就業環境が害されるものを「カスタマーハラスメント」と定義します。
- ※顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の王子グループの行う業務に関係を有する方
【カスタマーハラスメントに該当する行為の例】
以下の記載は例示でありこれらに限られるものではありません。
- 提供する商品、サービスに瑕疵・過失が認められない場合
- 要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合
- 身体的な攻撃(暴行、傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、揚げ足取り)
3.カスタマーハラスメントへの対応姿勢
カスタマーハラスメントが確認された場合は、残念ながらお客様とのお取引やお客様対応をお断りさせていただくことがあります。
また、悪質な場合には、警察・弁護士など外部専門家と連携し、適切に対処させていただきます。
4.王子グループにおける取り組み
- 本方針による企業姿勢の明確化、王子グループで働く従業員への周知・啓発
- カスタマーハラスメントへの対応方法、手順の策定
- 従業員への教育・研修の実施
- 従業員のための相談・報告体制の整備
王子ホールディングス株式会社
代表取締役社長 社長執行役員 CEO
磯野 裕之
制定:2025年4月1日